離婚を言い渡された瞬間、人生がひっくり返った。夫の言葉は「ただの便利な家政婦」だった。養育費、浮気、そして娘の涙。すべてをひっくり返す、衝撃の逆転劇が今、始まる。 この物語の結末が気になったら、ぜひ動画本編でお楽しみください。評価とチャンネル登録も、よろしくお願いします。

離婚を言い渡された瞬間、人生がひっくり返った。夫の言葉は「ただの便利な家政婦」だった。養育費、浮気、そして娘の涙。すべてをひっくり返す、衝撃の逆転劇が今、始まる。 この物語の結末が気になったら、ぜひ動画本編でお楽しみください。評価とチャンネル登録も、よろしくお願いします。

「離婚届を書いておいたから、明日までに出してくれ。」夫の公平が突然、冷たい声でそう言った。私は驚きのあまり言葉を失った。夫は続ける。「俺の連れ子に無関心な女とは、もうやっていけない。限界だ。」
私は反論した。「私は小春を実の娘のように大切に育ててきたつもりよ。」夫は嘲笑うように言う。「育てただと? 血も繋がっていない他人のくせに、母親面するな。」
「この2年間、家族としてやってきたじゃない。」私の言葉に、夫は吐き捨てるように言った。「笑わせるな。俺たちにとって、お前はただの便利な家政婦だったんだよ。」
「本気で言っているの?」「ああ、本気だ。俺は出張から戻るまでに、荷物をまとめて出て行け。あと、小春の養育費として月10万円を払え。」私は愕然とした。「養育費? 私が? 当たり前でしょ。今まで小春を育ててきたのは私よ。」「それは授業料みたいなものだ。そんなの、法的に払う義務はないわ。」「だったら、法が変わったのを知らないのか? 同居の実績があれば、離縁があっても養育費を支払う義務が生じるんだよ。」
「え? そんな法律、聞いたことないけど。」「俺が嘘をつくと思うのか? 払わないなら、職場に乗り込んで、この女は子供を捨てたって言いふらしてやるからな。」「やめて! 会社に迷惑をかけたくない。」「なら、月10万円をきっちり振り込め。」私は唇を噛み締めた。「……分かったわ。でも、それは小春のためよ。」「小春のためなら話が早い。助かるよ。」そう言って、公平は勝ち誇ったように笑った。「じゃあな。」
私は公平を見つめながら、心の中で誓った。今に見ていなさい、と。

「でも、さすがに月10万円は無理よ。私の生活が苦しくなる。」私は公平に懇願した。「それはお前の問題だろ。安いところに引っ越して節約すればいいだろう。親は子供のために我慢するもんだ。」「そう言うけど、10万円はあんまりだわ。」「だったら、借金して一括で払ったらどうだ? 20歳までの金額、480万円だ。切りよく500万円でもいいぞ。そうすれば、月々の返済よりも安く済むんじゃないか?」「私の収入で、そんな大金の審査が通るわけないでしょ。」
私は公平に詰め寄った。「そもそも、あなたと結婚する前、公平は小春と2人で暮らしていたわよね? 元妻が浮気して出て行ったから。」「それが何だ?」「公平の稼ぎだけでも、十分に暮らしていけたってことでしょ? どうして、そんなにお金が必要なの?」「いちいち言う必要があるか。必要だと言ったら、必要なんだよ。分かったら、小春の養育費をちゃんと払え。」「小春が悲しむわ。」「だから、10万円は無理だって言ってるでしょ!」「そこまで言うなら、5万円でどうだ? 半額にしてやる。」私はため息をついた。「……それでも、厳しいわ。」「お前なあ、わがまま言うなよ。それでも母親か。」「じゃあ、あなたの職場に行くしかないわね。」「は? 何をする気だ?」「楽しみにしていなさい。」私は冷たく言い放った。「みんなの前で、払わせてやるから。あなたの会社に迷惑をかけることになるわよ。それでもいいの?」公平は顔色を変えた。「やめろ! 会社に来るな!」「じゃあ、ちゃんと払ってくれる?」「分かった……分かったよ。でも、5万円だ。それで手を打て。」
私は少し迷ったが、頷いた。「……いいわ。でも、絶対に約束してよ。守れなかったら、次は弁護士に相談するから。」公平は舌打ちをした。「分かったよ。」
3日後、私は離婚届を出した。そして、5分後、小春に電話をした。「小春、今大丈夫かしら?」「はい、ちょうど学校が終わったところです。有里沙さんこそ、大丈夫ですか? 今、お仕事中じゃないですか?」「用事があって、有給を取ったのよ。気にしないで。それより、オーストラリアの生活はどう?」「英語はまだまだですけど、暮らしはとっても快適です。ホストファミリーの犬が可愛くって、『お座り』と『お手』の英語だけは、もう完璧になりました。」私は思わず笑みがこぼれた。「それは良かった。楽しそうで何よりだわ。あのね、今日連絡したのは、報告することがあって。」「報告ですか? 何でしょうか?」「実はね、お父さんと離婚したの。」電話の向こうで、小春が息を呑む気配がした。「え、本当に?」「うん。だから、お別れの挨拶をしたくて。今までありがとう。不器用な母親だったけど、小春と家族になれて、本当に良かったと思ってるわ。どうか、元気でね。」「本当に、さようならなんですか?」「ええ、残念ながら。」「……10歳の頃から、6年間ありがとうございました。」「母親らしいこと、何もできなかったね。ごめん。」「お母さんって呼べなくて、ごめんなさい。」「そんなこと、気にしなくていいのよ。一緒に洋服を買いに行ったの、楽しかったです。」「私もよ。じゃあ、有里沙さんもお元気で。」「小春も、留学頑張ってね。」電話を切った後、私はしばらくその場に立ち尽くしていた。
1週間後、私のマンションのロビーで、警備員に取り押さえられる公平の姿があった。「警備員を呼ぶなんて、卑怯だぞ!」公平は警備員に押さえられながら、私に怒鳴った。「朝からロビーで『養育費払え』って騒いでる男がいたら、誰だって警備員を呼ぶでしょ。」「まさか、本当に来るなんて思わなかったんだよ。」「何をするか分からない人を、簡単に部屋に入れられるわけないじゃない。後で会社に説明するのが、大変だったんだからね。」「お前のせいだろ! ちゃんと払うまで、何度でも言ってやるからな。」私は冷たく言い放った。「分かったわ。もう2度と来ないで。せめて、月3万円に減額してください。お願い。」公平は一瞬、虚を突かれた顔をしたが、すぐに嘲笑った。「ああ? 少な。まあいいや。小春のことを思ってるのは、本当みたいだしな。お前のその気持ちに免じて、3万円で許してやるよ。今月から払えよ。」「分かったわ。……1ヶ月でも滞納したら、すぐに弁護士に相談するからね。」「ふん、好きにしろ。」
1ヶ月後。私は公平に電話をした。「公平、あなた嘘をついたわね。」「何のことだ? 仕事終わったばかりで疲れてるんだ。揉め事は嫌なんだが。」「養育費のことよ。『法が変わった』なんて、よくもそんな嘘をつけたわね。」「誰がそんなことを言ったんだ? 騙されてるぞ。」「もう騙されないわ。弁護士に相談したの。公平と養子縁組をしていないなら、養育費を払う義務はないって。それとも、『無理やり支払わされた分は返還要求できる』って言われたわ。」公平は動揺した声をあげた。「たった3万円のパチンコ代の金を、返せるって言うのか?」「いいえ、返さなくていいわ。その代わり、来月からは払いません。」「小春がどうなってもいいのか?」「え? どういう意味?」「小春が飢えたり、学校に通えなくなってもいいのか?」私は冷静に言った。「公平って、稼ぎはそんなに悪くなかったわよね。営業で契約を取ったら、インセンティブも入るし。成績がいいから、ボーナスも増えるって言ってたじゃない。」「……そうだが、それが何だ?」「なら、生活に困るのはおかしくない? あれだよ。今、オーストラリアに留学に行ってるだろ。滞在費やら授業料やら、なんやかんやで金がかかるんだよ。」「だって、交換留学だから、国が負担してくれるはずよ。小春が通ってる高校だと、航空券が支給だったかしら。あとは、現地で使うお小遣いとか、それくらいよ。」公平は焦ったように言った。「なぜ、そんなことが分かるんだよ!」「だって、手続き関係は全部、私がやってたもの。でも、離婚した高校生が1人いるんだから、金がかかるのは事実だ。」「小春はどっちかって言うと、倹約家よ。お前の前では気を使ってただけだ。」「そんなにお金遣いが荒いわけでもなさそうだし。」「ああ、見た目より結構使ってるぞ。本当に何も知らないんだな。母親だったくせに。」「じゃあ、何に困ってるの?」「ああ、もうしつけえな!」公平は苛立ったように叫んだ。「もう何でもねえよ。とにかく、小春を思うなら、養育費を払えよ。」
翌日、私は小春に連絡をした。「小春、久しぶり。まだ起きてるかな?」「有里沙さん、起きてますよ。」「どうしたんですか?」「ちょっと、小春に聞きたいことがあって。」「何でしょうか?」「何か、困ってることある?」「えっと、困ってるとは、どういうことですか?」「なんか、お父さんがお金に困ってるみたいだったから。」「お父さんが? 何もないならいいの。ごめんなさいね。もう離婚したのに、こんな差し出がましいこと。」「あの、お父さんに言わないって約束してくれますか?」「え? うん。約束するよ。何?」「私の留学が終わったら、有里沙さんと暮らしたいです。」私は驚いた。「私と? 本当に? 気持ちは嬉しいけど、お父さんはどう思うだろう?」「いいんです。私、もうお父さんと暮らしたくない。」「何があったの?」「実は、小学校の頃からずっと、いい成績を取らないと、毎日怒鳴られていたんです。」「え、私が家に来てからは、そんな光景見たことないけど。」「なぜか、有里沙さんがいると怒らないんです。でも、少し外出すると、『この恥さらし』とか『低能』とか……」私は息を呑んだ。「何それ? 自分の娘に、そんなこと言うなんて。」「いい大学に入って、将来は稼いで仕送りをしろって言われてました。」「信じられない。」「あと、放課後はバイトを義務付けられてて。」「義務って、どういうこと? 放課後は部活だったんじゃないの?」「バイト代は全部、生活費として渡すように言われてました。『俺1人を養うだけでも金がかかるんだぞ』って言われてるから。」「子供からお金を巻き上げるなんて、信じられない! どうしてもっと早く言わなかったの?」「お父さんに固く口止めされてたし、何より、私とお父さんの問題だから、巻き込みたくなくて。」「何言ってるの? 私たち、家族でしょ? こんなの許せないわ!」「私のために、そこまで怒ってくれるんですか?」「当たり前でしょ? 小春は、私の大切な娘よ。」小春の声が、少しだけ弾んだ。「だから、留学を先生に進められて、飛びつきました。お父さんから離れられるなら、どこでも良かったんです。」「そうだったのね。」「進学に有利だと知って許してくれましたけど、戻るのが怖いです。」「留学が終わったら、真っ先にうちにいらっしゃい。私だったら、絶対にそんなことしない。約束するわ。」「信じます。だって、高校受験の時も、海外留学の時も、いつだって真剣に相談に乗ってくれたのは、有里沙さんでした。」「親として当然の責務だわ。」「でも、お父さんは絶対にそんなことしてくれなかったです。有里沙さんが、本当の母親だったらいいのにって、ずっと思ってた。」「じゃあ、本当の親子になる?」「え?」「小春が望むなら、私が養子になるわ。そしたら、私たちは正式に親子を名乗れる。どう?」「……なりたい! 私、有里沙さんと本当の親子になりたいです!」「じゃあ、小春が帰ってくるのを楽しみに待ってるわ。残りの留学生活、楽しんでね。」「はい!」
3ヶ月後。公平が私の家に押しかけてきた。「離婚してから、1円も振り込まれてないぞ!」「これから夕飯です。次の日にしてください。」「俺だって飯時くらい分かってるが、お前のために時間を割いてるんだ。いいから、小春の養育費を払えよ。」「払う義務がないわね。」「じゃあ、払わないなら、給料を差し押さえるからな!」「そもそも、あなたには、もらう権利がないのよ。」「あ? 小春は俺の娘だぞ! 権利しかないだろ!」「小春は、私と暮らしてますが。」「あ? なんで? どういうことだよ!」「そのままの意味だけど。小春の帰国日も知らなかったの? もうとっくに戻ってきて、今は私の家で暮らしてるわよ。」公平は真っ青になった。「は、これは連れ去りだ! 通報されたくなければ、早く俺の家に帰るように伝えとけ!」「帰って、またバイトでもさせるつもり? 小春から聞いたわよ。公平が小春にしてきたこと。」「俺は何をしたって言うんだ!」「とぼけないで。いい成績を取らないと暴言を吐いたり、無理やりバイトさせてお金を巻き上げたり……そんなの、親のすることじゃないわ。」「小春がそう言ってたのか? あいつは嘘つきだからな!」「嘘じゃないことくらい、会って目を見たら分かるわ。」「エスパーかよ。」「親なのに、子供の気持ちも分からないなんて。公平は親失格ね。」「お前に言われたくないんだが。」「今後、小春は私が面倒を見ます。」「小春を返せ!」「本人の意思よ。だから、連れ去りじゃないわ。」「嘘つけ! 警察呼ぶからな!」「そしたら、お前の負けよ。それとも、恥をかきたいの?」公平は激昂した。「ざみろ!」私は深く息を吸った。「また迷惑をかけるのは嫌だから、警察は呼ばないで。」「やましいことがあるから、呼ばれたくないんだろ!」「そうじゃない。普通に、ご近所迷惑だからやめてって言ってるの。」「そこまで嫌がるのは、ますます怪しいな。今から警察呼ぶわ!」「じゃあ、な。」私がそう言って電話を取ろうとすると、公平は焦って叫んだ。「待って!」
2時間後。公平は渋々ながら、警察から「逮捕は無理」と言われたことを認めた。「逮捕は無理って聞かされたぞ。どういうことだよ。」「当たり前でしょ。」「だって、私たちは正式な親子になるから。」「いやいや、血は繋がってねえだろ。」「だから、法的に親子になれるようにするのよ。」「いよいよ頭おかしくなったのか?」「いたって正常よ。小春の帰国後、すぐに弁護士に頼んで、養子縁組の手続きを進めてるの。」「何、勝手なことしてるんだよ! 実の父親である俺の許可がいるはずだ!」「そうなのよ。それがネックなのよね。」「俺は許可しないぞ!」「だったら、警察に駆け込むしかないわね。あなたが小春にしてきたことを警察に訴えて、それから家庭裁判所に申し立てをする。」公平は動揺した。「小春は、そんなこと望んでないはずだ! 俺の小春を返せ!」「今時の子は賢いわね。あなたの暴言が、全て録音されてるわ。」「嘘だろ?」「『激しい物に痛い』『やめて』と泣き叫ぶ声もね。」公平は青ざめた。「そ、それは……」「女手一つで育てるのは、本当に大変だったと思う。でも、これは間違ってる。俺のたった1人の娘なんだぞ。」「その娘が、嫌だと言ってるの。他人の私を頼ってまでね。親なら、小春の考えを尊重して、幸せを願うべきよ。」「もう2度と、あんなことはしない。だから、小春を返してくれ!」「どうして、そんなに小春を返して欲しいのよ。まさか、愛着があるから、じゃないんでしょ?」公平は口ごもった。「……実は、新しい彼女ができたんだ。俺の部下だけどな。その彼女、子供ができない体でさ。」「つまり、それが小春とどう関わってくるの?」「……連れ子がいることを伝えたら、私がその子の母親になる。一緒に暮らしたいって言ってくれたんだ。だから、小春を返せと。」「あまりにも身勝手だわ。」「でも、彼女は元保育士だから、お前なんかより子供の扱いはうまいぞ。」「あのね、小春はもう高校生よ。保育士に可愛がられる年じゃないわ。帰って、失礼よ。」「いいから、小春に伝えろよ! こっちに帰ってこいって!」「父親なんだから、自分の口で伝えたらどう? そうした方が、小春の本音も分かるでしょ?」「……それもそうだな。仕方ない。そうするわ。」
公平はその足で、小春に会いに行った。「小春、帰国して有里沙のところにいるんだってな。」「今更、何? 今、友達とカラオケ中なんだ。邪魔しないで。」「カラオケ? バイトにも行かず、何やってるんだよ。」「バイトなんかやめた。高校生なんだから、働かなくていいって、有里沙さんが言ってくれたの。」「何やってるんだ! そんなことしたら、生活できなくなるぞ!」「大丈夫。こっちでは、不自由ない暮らしできてるから。」「……とか言って、本当は辛い目に合ってるんじゃないか?」「むしろ、お父さんといた頃より幸せだよ。」「そう言わされてるんだろう。」「うん。これは私の意思。有里沙さんは、無理なバイトも勉強もさせない。私のペースでやらせてくれるし、優しく見守ってくれる。」公平は悔しそうに言った。「俺だって、無理させたつもりはないんだが。」「どこがだよ。ふざけんな。」「父親に向かって、なんて口を聞くんだ!」「お父さんは、それだけのことをしたんだよ。」「俺は、お前の将来を思ってだな!」「嘘つき。何も助けてくれなかったじゃない。有里沙さんは、私が本当に困った時、助けてくれた。」「そんなの、俺だって、言ってくれたら力になったのに。」「言ったよ。でも、お父さんは右から左へ受け流して、全然話を聞いてなかったじゃない。」「……そうだっけ?」「お父さんは会社では優秀かもしれないけど、父親としては最低だったよ。」公平は声を震わせた。「誰が、ここまで育ててやったと思ってるんだ?」「クソ親父のテンプレみたいなこと、言うんだね。もういい。好きにしろ。言っておくが、有里沙は俺ほど金があるわけじゃないからな。ずる賢くして、大学……いや、高校にも通えなくなるぞ。」「その点は大丈夫。有里沙さん、私のために転職してくれたの。収入が倍になったんだって。」「あいつが……!」「だから、もうお父さんと暮らす意味はないんだ。」「俺は、血の繋がった実の親だぞ!」「血だけね。でも、有里沙さんとは心で繋がってる。私にとっての親は、有里沙さん1人だけだよ。」「待ってくれ、小春!」「さようなら。」
翌日。私の元に、公平の彼女を名乗る女性が訪ねてきた。「有里沙さんですか? 初めまして。私、公平の彼女のリリって言います。」「ああ、元保育士の。」「この時間は、お仕事終わりですよね。話があります。」「えっと、なぜ私の連絡先を知ってるんですか?」「公平から連絡先を教えてもらったんです。」「人の個人情報を、勝手に教えるなんて。」「まあまあ、そんなことはどうでもいいじゃないですか。」「いや、どうでも良くないです。」「そんな細かい性格だから、離婚されるんですよ。」「あなたには関係ないでしょ。何の用ですか?」「小春ちゃんを、渡してください。」「は? 公平が言うならまだ分かりますが、なぜ、あなたがそれを言うんですか?」「だって、有里沙さんが小春ちゃんの面倒を見るせいで、公平にお金が入らないじゃないですか。そのせいで、欲しいものを買ってもらえないんですよ。」「あ? どういうこと?」「だから、小春ちゃんがいたら、児童手当で1万円でしょ。有里沙さんからの教育費3万円、それから養育費ね。小春ちゃんのバイト代8万円。それが全部で13万円。」「計算間違えてるわよ。」「ちょっと贅沢するには、ちょうどいい金額だと思いません?」私はリリという女性の思惑に、すべてを悟った。「まさか、小春に今までバイトをやらせてたのは、全部、あなたのためだったのね。」「そうですよ。分かってくれました? じゃあ、小春ちゃんください。」「絶対に渡しません。あなたじゃ、小春を幸せにできないわ。」「何よ。そういう有里沙さんは、公平を幸せにできなかったじゃないですか。」「あなたには関係ないでしょ。」「関係ありますよ。だって、私たち、離婚する前からの付き合いですもん。」「それは、浮気してたってこと?」「そう。有里沙さんたら、全然気づかないんだもん。公平と『鈍いね』って言ってました。」私はニッコリと微笑んだ。「そうね。鈍かったかも。だから、色々教えてくれる? こう見えて、私、恋愛話が好きなのよ。あなたが素敵な結婚ライフを遅れるよう、色々とアドバイスしたいの。」「分かってる。何から教えたらいい?」「あなたと公平は、どんなきっかけで付き合ったの?」「私が公平の部署に転職したのがきっかけかな。『一目惚れしました』って告白されちゃった。」「その時、あなたは公平が既婚者だと知ってたの?」「知ってましたよ。だから最初は断ったんだけど、奥さんがいるのに、ハイブランドのバッグやアクセサリー、高級レストランにも連れてってくれたの。」「まあ、羨ましい。ちなみに、どこのお店?」「予約の取れないイタリアンだよ。いいでしょう?」「まあ、羨ましい。だから、お礼に彼女になってあげたのね。」「なるほどね。それじゃあ、公平は相当喜んだでしょう。」「かなりね。」「付き合いたては、色々と盛り上がるわよね。」「分かります。付き合った初日に、ホテル行っちゃった。」「ええ、早速ラブラブね。その時の写真、ないの?」「ありますよ。ほら。」リリはスマホの画面を私に向けた。そこには、公平とリリが楽しそうに写っている写真があった。「これは、幸せそうね。最中のもあるよ。」「え、見たい、見たい。」「これ、恥ずかしいから、あんま見ないで。」「ありがとう。まさか、自分から証拠をくれるなんて、助かるわ。」「は?」私はリリのスマホを、素早く自分のスマホで撮影した。「既婚者だと知っていながら付き合った事実。不貞行為があったことを示す写真と動画。これを証拠として、慰謝料300万円請求するわね。」リリは顔色を変えた。「え、私にアドバイスするんじゃなかったの?」「そうよ。これがアドバイスよ。人生のね。」「意味わかんないんだけど。」「人のものに手を出したら、こうなるってことよ。慰謝料は勉強だと思って、払うことね。」「待って待って! じゃあ、今すぐ別れるから! それなら、いいでしょ!?」「別れたところで、浮気した事実は消えないわ。元保育士なら、子供にこう教えたことはない? 『人のものを取ってはいけません』『悪いことしたら、ごめんなさい』って。」リリは泣きそうな顔になった。「……それは、」「せめて、最後くらい、けじめはつけましょう。」「ごめんなさい! 謝るから、せめて慰謝料の金額は少なめにしてください!」「じゃあ、299万円でいいわよ。」「全然減ってない!」「今後は、弁護士を通してやり取りしてください。では、失礼します。」
翌日、公平から電話がかかってきた。「聞いたぞ。リリに慰謝料請求するんだってな。」「仕事終わりで早速? 面倒な連絡が来たわね。」「俺だって、仕事終わりで疲れてるんだ。こんな話、したかねえよ! 慰謝料請求なんか、絶対にするなよ!」「なぜ? こっちは、浮気されて精神的苦痛を受けてるのよ。」「リリとは、離婚後に出会った彼女だ! 慰謝料請求される覚えはない!」「あら、リリさんが色々と認めてくれたし、証拠の写真も頂いたから、慰謝料請求はできるのよ。」「リリがあの……!」「だから、公平にも慰謝料請求するわね。300万円。」「分かった! そこまで言うなら、リリと別れる!」「別れるか別れないかは、そちらの勝手だけど。」「で、お前と再婚して、全て元通りにする。そしたら、慰謝料を支払わなくていいだろう?」「あら、リリさんといい、あなたったら、お似合いだわ。」「は? あの女と一緒にするなよ!」「頭の悪さが、そっくりよ。」「今のは許してやる! その代わり、小春だけは返せ!」「あの、なぜ、そんなに小春にこだわるの?」「お前には分からないだろうが。妻が去ったあの日、俺は小春を守るって誓ったんだ。悪い男に引っかからないように、バイト禁止にさせ、将来に困らないように、勉強させてきたんだ。」「よくもまあ、そんな出任せが言えたもんね。小春にまつわるお金は、全てあの女に吸い取られてたのよね。」「あいつ、そんなことまで言ったのか!」「聞いてもないのに、ベラベラと教えてくれたわ。」「大人は色々と金がかかるんだよ!」「普通の大人は、それを子供に使うのよ。お金としてしか見れないなら、絶対に渡すことはできない。」「じゃあ、俺の身の回りの世話は、誰がやるんだよ!」「自分でやりなさいよ。いい大人なんだから。」「じゃあ、小春を派遣してくれ!」「何言ってんの?」「洗濯、料理で、1日1000円払うと伝えろ。」「小学生のお小遣いじゃないのよ。小春を何だと思ってるの?」「子供は、親のために貢献するものだろう!」「それは、子供に愛情を注いだ親がしてもらうものよ。公平みたいな自分勝手な親に、恩返しする人間はいないわ。」「頼むよ! 小春を失ったら、俺は1人ぼっちだ! どうやって生きていけばいいんだ!」「そんなの決まってるわ。1人で、生きていってください。」「嫌だよ! また3人で暮らそう!」「どうしても父親をしたいのなら、小春の養育費を払ってください。それが、あなたに残された父親としての責務よ。」「分かった! 払うから! だから、小春に合わせてくれ!」「小春が拒否してる以上、もう会うことはないわ。じゃあね、他人さん。」
2年後。小春が大学に合格した。「有里沙さん、大学受かった!」「本当? 良かったわね。今夜はお祝いね。」「有里沙さんのおかげだよ。塾の費用も、本当にありがとう。迷惑かけて、ごめん。」「なぜ、そんな他人みたいなことを言うの?」「え?」「娘のために、当然のことをしただけよ。」「うん。」「転職して収入は倍になったし、お父さんも心を入れ替えて、養育費を払ってくれてる。あなたは何も心配せず、大学生活を楽しみなさい。」「有里沙さん、私、すごく幸せだよ。でも、私がいることで、有里沙さんの再婚を邪魔してるなら……」「ちょっとちょっと。私は、好きな人ができたら、小春に紹介するから、見極めてねって、いつも言ってるよね。」「でも、いつまで経っても、紹介してくれないじゃないですか。」「彼氏ができない私を、ディスったわね?」「あ、ごめんなさい。」「今夜は約束通り、すき焼きにしましょう。そして、週末は好きなだけ、洋服を買ってあげる。」「やった! ありがとう! 本当におめでとう。」「ありがとう。」
その後、公平とリリは、当初は慰謝料の支払いに応じなかったため、裁判を起こされました。それでも対応しなかった結果、私が訴訟に勝ち、給与を差し押さえた段階で、慌てて連絡してきましたが、時すでに遅しでした。不思議と噂は出回ってしまうもので、「あの2人、浮気の慰謝料の支払いが滞って、給料を差し押さえられてるらしいわよ」と、噂の的になっているそうです。居心地が悪くなった2人は、会社に異動願いを出しましたが、却下され、さらに肩身が狭くなったとのこと。リリは「人のものを取る女」として、男性からは警戒され、女性同僚からは陰湿な嫌がらせを受けているとか。公平は異動先で、また新たな彼女を見つけたようですが、相手は既婚者でした。当然、旦那さんにバレてしまい、さらに慰謝料の支払いを抱えることに。さすがに問題視した会社は、公平を懲戒解雇としました。きっと彼は、また転職先を探すことでしょう。そして、私はまた、給料を差し押さえるために、行動を開始するかもしれません。
私はと言うと、この間、小春とお買い物を楽しみました。可愛いお洋服や、流行りのコスメを買ってあげたり、一緒にスイーツを食べました。「お母さん」と呼ばれることには、まだ慣れないけど、そのくすぐったさが、心地よかったりもするのです。これからも、小春にとって誇らしい母親でいられるよう、頑張ります。

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