「あんたはまだうちの身分じゃないのよ。」 義母にそう言われたのは、結婚して半年の夜だった。彼女は夫と娘夫婦と5人でハワイに行くと言い、私だけ留守番を命じた。しかも、その旅行代は私が節約して貯めたお金だと知ったのは後からだった。夫は何も言わず、義母の味方をするだけ。 「戸籍に名前書いただけの他人でしょ」という言葉が頭から離れない。…

「あんたはまだうちの身分じゃないのよ。」 義母にそう言われたのは、結婚して半年の夜だった。彼女は夫と娘夫婦と5人でハワイに行くと言い、私だけ留守番を命じた。しかも、その旅行代は私が節約して貯めたお金だと知ったのは後からだった。夫は何も言わず、義母の味方をするだけ。 「戸籍に名前書いただけの他人でしょ」という言葉が頭から離れない。...

お母さんが突然、旅行の話を持ち出した。「ハワイ行ってくるわね。留守番よろしく。」
「あら、お母様。随分と景気がよろしいことで。」
「そうなのよ。可愛い息子が親孝行で連れてってくれるらしいの。」
「へえ。その息子さんって私の夫なんですが、そんな話聞いてないんですけどね。」
「別に嫁ごときが言う必要ある?」
「家計のお金から出るなら、相談があってもいいのでは?」
「あなたと結婚してからお金が余ってるらしいな。そのお金で連れてってくれるんだからいいでしょ。」

私は生活費を切り詰めて貯金してきた。だが、お母さんはそれを「余ってるお金」と笑う。「うちのご先祖様は貴族なのよ」とまで言い出した。
「お母さんも息子さんも埼玉生まれですよね。」
「え、どっちも同じでしょ。」
「それで、留守番とはどういうことですか?」
「そのままの意味よ。私だけ行けないってことですか?」
「逆になんで行くつもりなのよ。」
「結婚したので家族になったのかなと。」
「冗談やめてよ。戸籍に名前書いただけの他人でしょ。」

夫に話すと、彼もまさかの返事だった。「ごめんな。相談はして欲しかった。でも、パパとママと姉夫婦と5人で行くんだ。」
「私も連れていいかな?」と聞くと、夫は黙った。お母さんは私の分の費用がないと言い放った。「航空券とホテル代で130万使っちゃって、残り20万じゃ無理なのよ。」
「じゃあ、何が目的なんですか?」
「あんたはまだうちの身分じゃないのよ。」
その言葉で、私は決めた。勝手に旅行に行くなら、勝手にさせればいい。でも、この家のルールは、もう私のルールじゃない。

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