「あ、お姉ちゃん見てくれたんだ。見たわよ。なんであなたが純平といるの?」——妹からのこの一言から、私の人生は狂い始めた。しかも、彼女は笑顔で「私、純平さんの子供妊娠しちゃったから」と続けたのだ。私の婚約者を奪った挙句、妊娠報告までしてくる妹。絶望する私に、彼女は言い放った。「お姉ちゃんの婚約者、いただきまーす。」——だが、私は知らなかった。この日から始まるのは、私の復讐劇ではなく、妹の完全な…

「あ、お姉ちゃん見てくれたんだ。見たわよ。なんであなたが純平といるの?」——妹からのこの一言から、私の人生は狂い始めた。しかも、彼女は笑顔で「私、純平さんの子供妊娠しちゃったから」と続けたのだ。私の婚約者を奪った挙句、妊娠報告までしてくる妹。絶望する私に、彼女は言い放った。「お姉ちゃんの婚約者、いただきまーす。」——だが、私は知らなかった。この日から始まるのは、私の復讐劇ではなく、妹の完全な...

「あか、さっき送ってきた写真。あれ何?」
「あ、お姉ちゃん見てくれたんだ。見たわよ。なんであなたが純平といるの?」
「純平さんの顔、すっごく可愛くなかった?お姉ちゃん相手だと見せないだろうね。」
「一体何考えてるのよ。」
「見たままだけど。お姉ちゃんの婚約者、寝取ってみたみたいな。」
「ふざけないで。いくら何でもこれは…」
「ああ、そうそう。私、純平さんの子供妊娠しちゃったから。」
「は?冗談よね。」
「ガチガチ。後で検査の結果とか見せてあげる。」
「愛花、あなた…」
「奪っちゃってごめんね。私、純平さんと幸せになるから。お姉ちゃんの婚約者、いただきまーす。」

そう言って笑う妹の顔は、本気だった。姉の雅美は、その場で何も言えなくなった。

「本当の本当なのね。嘘はない。お腹の子は純平の子で確定。」
「何その食いつき方?愛する婚約者奪われて頭おかしくなった。キモ。」
「今はそんなことはどうでもいいの。それよりも本当に純平の子なの?他の男の子供って可能性は?」
「いや、グイグイきすぎ。脳破壊されてるじゃん。最近は純平さん以外とは関係持ってないから確定だよ。」
「さきたこれ。」
「あ、なんて…愛花、本当にありがとう。おめでとうね。よかった。」
「いやいやいや。はあ。マジで脳みそ壊れちゃったの?こわ。」
「純平の子供ができたんでしょ?」
「そうだけど。」
「じゃあ純平と結婚する気?」
「当たり前。イケメンで高身長で。高学歴のエリートじゃん。お姉ちゃんにはもったいないと思ってたんだよね。」
「そうそう。おめでとう。私、今本気で嬉しいって思ってる。」
「え、いいの?ガチでやばくない?」
「自分から報告してきてその言い草はないでしょ?」
「それはそうなんだけど、そのリアクションは違うっていうか。」
「何?泣き極めたら納得行くの?このよくも純平って言えばいいの?」
「いや、え、自分の婚約者が妹に取られたんだよ。もっとあるでしょ。」
「ああ、はいはい。脳破壊。脳破壊。これダメだわ。しばらく立ち直れないわ。」
「ふざけないでよ。純平さんは私みたいな可愛くて愛嬌ある子が好きなの。だからお姉ちゃんを捨てたの。わかる?捨てられちゃった。ピエン。」
「あ、そう。そうやって強がってんだ。私よりもブスだからしょうがないもんね。男取られるのも当然っていうか。」
「お母さんに連絡入れたら、明日はお泊まりだって。」
「なんで?」
「とにかくありがとう。愛花のこと大好き。純平のことはよろしくね。」
「持てない女の負け惜しみやばすぎ。言われなくてもよろしくするから心配しないでね。」

そう言って、愛花は姉の前から去っていった。雅美は、ただその背中を見つめることしかできなかった。

二週間後。
「雅美、お前の婚約者、相当やってるみたいだぞ。」
「お、さすが仕事が早い。やっぱり弁護士先生は違うね。」
「チクショウ…てか、瞬って呼ぶのやめろ。」
「よ、は、でしょ。今はお前の雇った担当弁護士だぞ。もうただの近所の兄ちゃんじゃねえんだ。」
「はいはい。俊介先生。」
「お前に先生とか呼ばれると落ち着かないな。」
「知らないよ。てか、純平が相当やってるって何?愛花だけじゃないの?」
「俺も驚き通り越して呆れたんだが、愛花ちゃんを含めて不倫相手は4人だ。」
「4人…!? 私を入れて5人…」
「なんていうか、ここまで来ると一周回って尊敬するわ。しかも今まで証拠を掴ませなかったんだから。愛花のおかげでようやく証拠掴んだと思ったら、まさかの4人って。」
「不倫はしてるだろうって、お前言ってたもんな。」
「それはうん。翻訳してもう2年になるけど、明らかに外増えたし。スマホのパスワードも変えてて怪しかったもん。」
「なんでパスワード知ってんの?怖くね?」
「いや、前は私の誕生日だったの。そういうことね。」
「でも今まで探偵使っても証拠出なかったよね。」
「だな。不倫のプロだわ、お前の婚約者。嬉しくないけど。」
「なんでそれが急に一気に判明したの?」
「それは愛花ちゃんのお手柄。お前に妊娠暴露したんだろ?」
「え?うん。けど、それだとあの事しか分からないんじゃ…」
「純平君も愛花ちゃんの妊娠を焦ったんだろうよ。さすがに逃げられないってことで、他の不倫相手を切ろうとしたんだな。つまり、他の不倫相手を切ろうとして雑になった。そこを探偵の連中が写真でパシャリ。」
「なるほどね。」
「ついでに言えば、俺も動けるようになったしな。」
「人がどういうこと?」
「やめろ。いいでしょ、別に。」
「ねえ、なんで?」
「ああ、愛花ちゃんのおかげで不倫が確定したろ。妊娠した宣言からの妊娠結果まで送ってきたからね。そうなると弁護士として開示請求ができるんだよ。銀行やら携帯キャリアやらクレカやら色々な。それで証拠掴んだってことか。やるじゃん。なんか本物の弁護士みたい。」
「弁護士なんだよ。本物の。でもこれでようやく肩の荷が降りるわ。私も婚約破棄の前にきっちりと落とし前をつけたかったし。」
「あとはこっちに任せとけ。この状況で負けるなら弁護士引退してやるよ。」
「期待してる。愛花には本当に感謝。後でお礼行っとこ。」
「いい性格してんな、お前。」
「ありがとう。」
「褒めてないから。」
「じゃ、あとはよろしくね。」

数日後、愛花からまた連絡が来た。
「あ、もう幸せすぎ。今、純平さんのために晩御飯作ってます。愛の料理。」
「愛じゃないでしょ。結婚してないんだから。」
「はいはい。負け惜しみ。お姉ちゃんとは別れて結婚してくれるって言ってたよ。私の婚約破棄は本当ね。おめでとう。」
「ああ。はいはい。良かったね。」
「もうさあ、こんな幸せでいいのかなって感じ。私ってホームスタイルも良くていい男も捕まえちゃって人生最高。」
「ねえ。そんなくだらないことなら返信しなくてもいい?私、今日も残業で忙しいんだけど。」
「う、忙しいアピールですか?キモ。仕事できる女感出してきてうざい。」
「ごめんね。実際に忙しいから。あと仕事できるアピールはしてないよね。」
「高学歴で有名企業勤めの私、すっごいって。はいはい。賢い賢い。すごいね。」
「お姉ちゃん言ってませんけどね。というか私って頭良くないし。はけ謙遜うざ。一生懸命勉強していい大学出てようやく就職したの。それは愛花だって知ってるでしょ。」
「それだけ頑張った結果がこれとか、無駄な努力。お疲れ様。」
「無駄じゃないから、こうして今の仕事してるんだけど。」
「学歴あっても有名企業勤めでも意味ないから。女の価値は可愛さが全て。可愛いが正義。」
「そんなことはないでしょう。」
「実際、お姉ちゃんは有能物件の婚約者を取られてるじゃん。」
「それはそうかもだけど…」
「私みたいに顔よし、スタイルよし、愛嬌よしが結局は最強なわけ。顔室、スタイル普通のブスにはわかんないか。」
「そうですか。じゃあ最強の愛花ちゃん。何?」
「慰謝料、払ってくれるよね。」
「は?慰謝料?」
「不倫した挙句妊娠でしょ。当然だから。」
「いやいやいや、そっちに魅力がないのが悪いんでしょ。不倫される方に問題があるから。」
「日本の法律はそうなってないんだよ。200万ね、しっかり払って。」
「200万?嘘でしょ?マジなんですけど。」
「ああ、マジなんですよね。いや、でも…うん、まあいいけどね。」
「ああ、いいんだ。純平さんってかなり稼ぎいいし、お願いすれば払ってくれるでしょう。」
「ああ、それは無理。」
「なんで?お姉ちゃんがわかんの?」
「純平はそれどころじゃないから。私を含めて4人から慰謝料請求されるから。」
「は?どういうこと?」
「私を含めて4人から慰謝料請求されるから。」
「あ、4人…計算合わなくない?あと3人って誰?私以外の不倫相手?」
「私以外の?ちょっと待って。純平さん、私以外の女とも関係持ってるの?」
「私も入れて5人同時だって。脳みそ下半身についてんのかよって思ったわ。」
「え、じゃあ何?私の慰謝料は誰が払うの?」
「愛花が自分でどうぞ。」
「ええ…」

翌日、雅美の元に、見覚えのある男が訪ねてきた。昔馴染みの俊介だった。
「久しぶり。雅美。」
「うわ、ガリ勉先輩じゃん。」
「おわ、懐かしいな、その呼び方。てか、何だよ。」
「ああ、お姉ちゃんはガリ勉先輩に懐いてたけど、私ってダサいガリ勉に興味ないんだけど。」
「一応昔馴染みだろ。挨拶くらいはと思ってな。」
「挨拶?何の?」
「俺、雅美の担当弁護士だから。」
「え、ちょ、マジ?ガリ勉先輩って弁護士になったの?」
「すっごい食いつくじゃん。」
「へ、年収は?弁護士ってことは純平さんよりも高収入?」
「いや、教えないぞ。」
「ええ、マジか。昔から他の人とは違うと思ってたんだよね。」
「その割には散々馬鹿にしてきてたと思うけど。」
「あれは私もガキだっただけですよ。思春期特有の、気になる人には冷たくなるあれです。」
「あっそ。相変わらずだな。雅美とは似てない感じがすごい。」
「え、お姉ちゃん、あんなブスが私に似てるわけないじゃないですか。私ってあの頃から可愛かったでしょ。」
「まあ、顔だけはな。」
「でも今の方が昔の何倍も可愛いんですよ。スタイルだってモデルみたいって評判なんです。」
「あのさ、それを伝えてどうしたいわけ?」
「ああ、下心あるとか思われてます?ショック。」
「しらじらしいやつだな。というか俺が雅美の担当弁護士って意味分かってるか?」
「はい。今それって関係あります?」
「関係あるから連絡してんだろ。愛花ちゃんへの慰謝料請求を俺がやるから。」
「ああ、そっか。そういうことじゃん。」
「だからそう言ってるだろう。ちなみに純平君への慰謝料請求も俺がやる。てことは敵?」
「いや、でも…あ、そうだ。今日って夜、開いてます?」
「は?ごめん。会話が迷子すぎる。どこから出てきたそれ?」
「私、お寿司食べたいな。カウンターのやつ。」
「いや、だから…」
「はいはい。細かい話はその時にしましょうよ。せっかく久しぶりに連絡取ってるんだから、今日は楽しみましょうね。」
「あ、ごめん。無理。」
「え、無理?無理って何語?」
「日本語。そもそも俺、雅美ちゃんタイプじゃないし。」
「は、ちょっと待って。断んの?」
「あ、はい。」
「私から誘ってあげてるんですけど。」
「だからタイプじゃない人に誘われても嬉しくないだろう。」
「私だよ。可愛くてスタイルもいい雅美ちゃんですよ。」
「知らん。そんなに寿司食いたいなら、一人で行ってこい。」
「はあ。男のくせに何言ってるんですか?女の子がご飯食べたいって言ったら奢るのが普通なの。」
「どこの世界の普通だよ。少なくとも日本の普通じゃないな。」
「ありえない。モテませんよ。」
「モテなくて結構だ。」
「そんな…」
「とはいえ…そうだな。飯食い行くか。」
「え、本当に?」
「ああ、本当に。ただ今夜は予定があるから、詳しい日程は後でまた連絡する。」
「うん。わかりました。やった!俊介さん大好き!」

数日後、雅美の元に、また愛花から連絡が来た。
「お姉ちゃん、本当にありがとうね。」
「え、何?急に。」
「俊介さんだよ。俊介さん。あの人、お姉ちゃんの担当弁護士なんでしょ?」
「そうだけど。」
「おかげで久しぶりに連絡くれてさ。今日、この後2人で食事行くことになってるの。」
「へえ。そうなんだ。というか…純平は?浮気じゃない?それ。」
「ああ、あのクソ男。あれはもういいの。いらない。」
「いらないって…」
「お姉ちゃんが欲しいなら返してあげるよ。慰謝料をまとめて請求されちゃってゴミだから。」
「いや、ごめん。私もいらない。」
「ええ、純平さんかわいそう。」
「というか愛花も同じでしょ。何が?200万の慰謝料払えるの?」
「それ聞いちゃう?余裕です。」
「そんなに貯金あったの?意外。」
「いや、ないよ。コスメとか服で給料は全部使うし。」
「は?じゃあどうやって払うの?」
「俊介さんが払ってくれるから大丈夫。」
「はい?何?」
「弁護士だよ。200万くらい余裕でしょ。」
「いや、問題はそこじゃないから。なんで俊介が払うの?」
「いや、お姉ちゃん、私の話聞いてた?今日の夜、この後私、俊介さんと食事に行くの。2人っきりで言ってたわね。」
「それが…もう察し悪すぎ。持てない人生を送ってるとそんなに鈍くなるの?やっば。」
「だから、なんだって言うのよ?」
「男と女が夜に2人っきりで食事行くんだよ。その後なんて、これ以上言えない。」
「そのキャラうざいからやめてね。何?ホテルにでも行こうって思ってるの?」
「ちょ、直接すぎでしょ。」
「だから、俊介が払ってくれるって。払ってくれなくても、お姉ちゃんの弁護士降りるかもだし。そうなったら結局払わなくても済むよね。」
「おめでたい頭してるよね。愛花って。」
「嫉妬やめてください。まあ、婚約者奪った後に幼馴染みの男までってことだから、どんまいだけど。」
「なんで俊介がなびく前提なのよ。」
「いや、私だよ。可愛くてスタイル抜群の私だよ。男が掘っておくわけないじゃん。」
「そうですね。妊娠してるくせに、どこまで楽観的なの?俊介さんならこの子も育ててくれるよ。」
「だからどこから来るのよ、その自信。」
「男に相手にされない枯れた女には分からないでしょ。」
「ま、女の幸せは男にモテることだけじゃないよ。多分。仕事だけやって一生独身で頑張ってね。」
「はいはい。頑張りますよ。私、これから用事あるから。」
「ああ、仕事大変だね。私は俊介さんと高級お寿司食べに行ってくるから。負け犬人生、楽しんで。」

数時間後、雅美のスマホが鳴った。俊介からだ。
「マジで最低ありえないから。」
「急に怒って店出ていったと思ったら、どうしたんだ?」
「どうしたもこうしたもないから。愛花ちゃんお望みの高級寿司だったのに。」
「だからそこじゃねえって言ってんでしょ。」
「不満があったならはっきり言えよ。」
「普通、女と食事する席に他の女呼ぶ?しかもこの私との食事で。」
「呼ぶだろ。そのために食事に誘ったんだから。」
「お姉ちゃん同席って何?3者面談かよ。」
「というより慰謝料についての話し合いな。そっちが飛び出したせいでお預けだけど。」
「やってられるか。こっちはね、メイクして服も可愛いの選んだの。ああ、そう。リアクション薄い。男と違って金も時間もかかってるんですけど。」
「頼んでないからな。」
「モテない男ってマジでキモい。そういうことを言う男は誰にも相手にされないから。」
「相手にされない男との食事にそんな気合入れてきたのか。苦労なこった。」
「ちょっと、紛らわしいことしないでよ。」
「紛らわしいって。俺は食事に誘っただけだろ。」
「そんなのもう告白でしょ。」
「飛躍しすぎだろ。怖いわ。」
「ああ、もう本当に腹立つ。慰謝料200万チャラにできると思ってたのに。どうしてくれんのよ。」
「逆切れするなよ。そもそもタイプじゃないって言っておいたよな。」
「だったら、あんたのタイプは?」
「聞いてどうすんだよ。ああ、雅美かな。」
「は?お姉ちゃん?」
「そう、これで納得しちゃうか。」
「うわ、ありえな。あんなブスがいいとか、趣味悪すぎでしょ。」
「見た目だけの中身スカスカ女よりはマシだろ。」
「は、それ私のこと?」
「他に誰がいるんだよ。雅美は昔から努力家で、それを鼻にかけたりもしなかった。そんな姿を見てたから、俺も頑張れたんだ。」
「くそ。女の魅力がかけらもないブスがいいとか意味不明。」
「見てくれだけが魅力だと思ってるお前のが意味不明だわ。」
「な、んですって!」
「てか、今まではっきり言われてこなかったみたいだけど、お前って別にモテないからな。」
「は?何言ってんの?そんなはずないでしょ。」
「バカな男からしたらアクセサリーみたいなもんだろう。見た目がいい女を連れて、俺レベル高いって。」
「適当言わないで。みんな私を愛してくれてたから。」
「本気で愛されてたら、不倫もされてねえよ。」
「それはお姉ちゃんも一緒じゃん。あの純平君…見る目ないよな。私にも同じこと言えるでしょ。」
「いや、お前は不倫相手で妊娠までさせられてるんだぞ。同じじゃないだろ。それだけ適当に扱われてただけな。」
「うっ…」
「こんな言わせておけば。」
「ああ、でも感謝はしてる。」
「は?急に。お礼を言っても許さないけど。」
「お前のおかげで、雅美がいい女だって再確認できたわ。そこだけはサンキューな。」
「当て馬…この私が当て馬?」
「当て馬にもなってねえだろ。自分が魅力ないって自覚した方がいいぞ。雅美と同じ土俵にすら立ててないって。」

翌日、愛花は雅美に電話をかけまくった。
「本当に何なの?あのクソ男!」
「何?昨日もせっかくの食事の席から飛び出していって。俊介に失礼でしょう。」
「失礼?失礼なのはあの男だから。どこが?」
「私に魅力がないって言ったんだよ。ありえなくない?魅力の塊だろうが。」
「人によるでしょ。」
「挙句の果てに、私よりもお姉ちゃんの方がいいって。どんだけ失礼なのって思わない?あ、私に対して失礼だと思わない?」
「はあ。お姉ちゃんなんて私以下なんだから、事実でしょ。」
「そういうとこだと思うけど。」
「というか文句言うのはいいけどさ、慰謝料はちゃんと払ってね。」
「いや、無理。貯金とかないし。」
「だとしても払うんだよ。」
「ねえ、お姉ちゃん。」
「はいはい。お姉ちゃんですけど。」
「私って、ほら、姉妹だよね。」
「そうね。」
「じゃあ、慰謝料とかやめない?」
「はい?」
「私って、ほら、妊娠もしてるし。可哀想だと思わない?」
「思わないけど。なんでよ。」
「だって自業自得よね。勝手に不倫して勝手に妊娠したんでしょ?」
「いや、違うよ。違わないでしょ。悪いのは手を出してきた純平さんの方でしょ。あと純平さんに不倫させたお姉ちゃん。私は悪くないから。」
「その主張で、よく泣き落とししようと思ったね。余計無理だわ。だって私は悪くないもん。」
「なんで私ばっかりこんな目に会うの?」
「なんで被害者ぶってるの?怖いんだけど。」
「お姉ちゃんっていっつもそう。何が?学生の頃から勉強できて運動できてみんなの中心で。私よりもブスのくせに。」
「それは努力してきたからでしょ。努力努力ってそればっか。何もしてない私が悪いみたいじゃん。」
「別に悪くはないよ。努力してない人が努力した人を笑う権利はないってだけ。」
「意味わかんない。」
「それに、自分だけが不遇だと思ってるのも腹立つから。」
「は?どういうこと?」
「私が愛花と比較されないで生きてきたと思ってるの?『愛花ちゃんは可愛いね』とか『愛嬌あるね』とか。それに比べて『雅美ちゃんの方は…』みたいな経験、いっぱいあります。」
「それは事実だからしょうがないじゃん。」
「じゃあ、努力してこなかった結果も事実でしょ。不倫したのも妊娠したのも事実。男に相手にされなかったのも事実だから、受け入れな。」
「嫌だ。200万も払いたくない。貯金もなくて200万も払って子供も抱えて、これからどうしたらいいの?」
「真面目に生きればいいと思うよ。まあ、それができたらこんなことにはなってないか。」
「お姉ちゃん、お願い。助けて…」
「助けたいって思える態度を取ってこなかった自分を恨みな。顔がどれだけ良くても、性格が悪いとそうなるのよ。」

数日後。
「俊介、本当に今回はありがとうございました。愛花ちゃんから慰謝料払われたんだって。」
「うちのお母さんに土下座して用意したんだって。じゃあ借金か。」
「お母さん、愛花にブチ切れだったから、借金の取り立ては厳しく行くって言ってたよ。」
「そっか。本当なら自業自得だし、ほっておくのもありだったけど、子供がいるからな。不倫の末の子供とはいえ、雅美さんからしたら孫だし。それに子供に罪はないからね。一応、借金返済が終わるまでは実家暮らし確定。逃げ道なしじゃん。」
「それだけお母さんも本気ってこと。この機会に、あの腐った性根を叩き直すって言ってた。」
「お前の元婚約者は泥沼らしいよ。不倫相手の中に人妻もいたらしくて、今も絶賛裁判中らしいな。」
「泣きついてきたけど、LINEブロックしてやったわ。」
「それが正解だろ。」
「ああ、次の相手とか考えてんの?」
「いや、さすがに今はないでしょう。あんなことがあった後だし、しばらくは…ごめんかな。」
「そっか。そうだよな。」
「何?なんか元気ないね。」
「いや、なんでもない。本当に?」
「本当に。」
「たださ、今度…飯とか行かないか。」
「なんで急に?」
「今回の打ち上げ的な。」
「うーん。まあ、いいか。高級寿司にするか?」
「愛花じゃないから、別にいいよ。居酒屋で飲まない?」
「それがいいな。お前とは気楽に飲む方が合ってる気がするし。」
「安い女で悪うございました。」
「そうじゃなくて、落ち着くなって話。」
「おお。何な?告白ですか?」
「愛花ちゃんみたいなこと言うなよ。ごめんごめん。俊介はお兄ちゃんみたいなもんだしね。からかっただけ。」
「お兄ちゃん…お兄ちゃんか。」
「何?ご不満?」
「不満は…伸び代に期待だな。」
「伸び代あったらいいね。」
「お前さ…あ、いや、いいけど。今は俺もタイミング違うと思うし。まあ、いつかね。」
「はいはい。それまではお兄ちゃんでやるよ。」
「うん。これからもよろしくね。」

その後、愛花は言われた通り、実家で暮らしている。とはいえ、やったことがやったこと。お母さんも容赦をする気はないようで、日常生活の乱れから家事やら何まで、徹底的に教育し直すべく、甘さを一切捨てて接しているんだとか。もちろん、お母さんへの200万の借金も返済中だ。コスメも服も買えない。しかも毎日怒られてばっかり。こんな生活イヤだと、愛花が毎日泣いているんだとか。これから愛花は出産もして、さらに大変な思いをするだろう。借金の返済が終わっても、コスメが欲しいとか服が欲しいなんて言えなくなる。それが愛花の選んだ結果なので、しっかりと受け止めて反省してほしい。

ちなみに、私の元婚約者である純平は泥沼裁判の真っ最中。会社にもバレてしまい失職したんだとか。これから慰謝料もさらにのしかかるわけで、クソ男には未来なしといった感じだ。

一方で私はと言えば、今は恋愛のことは忘れて仕事に打ち込んでいる。俊介とはちょくちょく飲みに行っていて、今でも仲良しだ。いつか、今回の件が吹っ切れて勇気が持てたら、俊介と向き合ってあげるのもいいかもしれない。

ご視聴ありがとうございました。動画の評価とチャンネル登録もよろしくお願いします。それでは次回の動画でお会いしましょう。

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