週に一度の夕食で、義理の娘が私の料理を鼻で笑い、「年金暮らしじゃ仕方ないですね」と言った。私は反論したけど、彼女は「そんなのお小遣い稼ぎでしょ」と吹き出した。そして、最悪の一言を笑いながら放ったんだ。「もしかしてお父さんが病気になったのも、お母さんの料理が原因だったりして?」その瞬間、いつも温厚な息子の顔が、見たこともないほど険しくなって、立ち上がった。私は怖くて、でも止められなかった。息子…

週に一度の夕食で、義理の娘が私の料理を鼻で笑い、「年金暮らしじゃ仕方ないですね」と言った。私は反論したけど、彼女は「そんなのお小遣い稼ぎでしょ」と吹き出した。そして、最悪の一言を笑いながら放ったんだ。「もしかしてお父さんが病気になったのも、お母さんの料理が原因だったりして?」その瞬間、いつも温厚な息子の顔が、見たこともないほど険しくなって、立ち上がった。私は怖くて、でも止められなかった。息子...

久しぶりに長男夫婦が揃って夕食を食べに来た日。私は煮物と焼き魚を食卓に並べた。

「やっぱり母さんの煮物はうまいな」

浩司は嬉しそうに箸を進めていた。ところが途中で仕事の電話が入った。

「悪い、ちょっと電話してくる」

彼がリビングへ移動した瞬間、嫁のみさは箸を置いた。

「ひどいわ。この料理、さっきまでの笑顔はどこへ行ったの?」

私は耳を疑った。

「家も古いし、料理もこんな感じでしょ。鼻で笑っちゃうわ。まあ、年金暮らしじゃ仕方ないですけどね」

「私、今もパートに出ているわよ」

みさは吹き出した。

「そんなのお小遣い稼ぎでしょ?お父さんの遺族年金が生活の中心なんだから、ほとんど年金暮らしって言っても間違いじゃないですよね」

さらに煮物を箸でつつきながら、

「工事もかわいそう。こんな料理で育ったんですよね」

そしてみさは笑いながら、絶対に言ってはいけないことを言った。

「もしかしてお父さんが病気になったのも、お母さんの料理が原因だったりして」

その瞬間――

「おい」

低い声がした。みさの手が止まる。浩司がこちらを見ていた。いつも温厚な息子の顔が、見たこともないほど険しい。

「今、何て言った?」

「え?」

「みさ、何て言ったんだ?」

浩司はゆっくり近づいた。

「俺の母さんに何て言ったんだって聞いてる」

私の名前はさち子。55歳。5年前に夫をがんで亡くした。息子は2人。長男の浩司は33歳。美容師として働き、1年前にみさと結婚した。次男の優太は30歳、今は海外で働いている。夫を亡くした私は現在一人暮らし。遺族年金を受け取りながら、週4回だけ法律事務所で働いている。生活は派手ではない。でも夫が残してくれた貯金もあるし、自分の給料もある。誰かに養ってもらう必要はない。

それなのに、みさはなぜか私を「年金しかない寂しいおばさん」だと思っていた。

結婚当初、私はみさが嫁に来てくれたことを心から喜んでいた。私には娘がいない。だから一緒にランチをしたり買い物をしたり、そんな関係になれたらいいなと思っていた。みさも最初は笑顔だった。

「お母さんは私にとって第二のお母さんです」

その言葉が嬉しくて、

「ここも第二の実家だと思ってね」

そう言った。今思えば、あの頃から何かが違っていたのかもしれない。

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