母から突然の電話がかかってきたのは、SNSで家を買ったことを知ったからだった。今まで無視し続けてきたくせに、豪邸と聞けば態度が変わる。息子も娘も、私のお金にしか興味がないのは明らかだった。 「あんたみたいに家族を大切にしない人間には一円だって渡したくないわ」 そう言い放った瞬間、電話の向こうで息子が何かを企むような沈黙が流れた。 「一生ネタ切り状態なんて辛いだろ」…
「お母さん、なんで黙ってたんですか?」 千春からの突然の電話に、私は一瞬言葉を失った。 「え、千春さん、どうして急に連絡なんて…」 「そんなのするに決まってますよ。正常に100粒の家を買うなんて。お母さんすごいですね。でも黙ってるなんて水臭いですよ」 今までこちらが連絡しても無視し続けてきたくせに、家を買ったと知った途端口調が変わった。 「どうして家を買うことを知ってるの?」 「清さんのSNSを見たんですよ。そしたらお母さんが家を買ったって書いてあって、しかも正常で100つですよ」 私はSNSに上げることを軽く了承したことを後悔した。 「悪いけど近づかないでもらえる?そこは私が購入したもので私のものなのよ。だからあなたたちに関わって欲しくないの」 「なんでそんなに冷たいんですか?」 「自分の胸に聞いてみなさい」 千春はそれでも食い下がった。 「でも是非そのお家の前で私も写真撮りたいです。それをSNSにアップしたいと思ってるんですよ」 「家ならそこら中にあるんだから好きにしなさい。それか自分たちで家を買ったらいいじゃない」 「無理ですよ。こんな豪邸買えるわけないです。でもよくこんな高そうな家を買えましたね。母さんたって地味で貧層な暮らしをしてると思ってたのに見直しました」 彼女はさらに続けた。 「貧乏な家で生まれ育って高校も行けなかったって聞いて心の底から馬鹿にしてたんですけどね」 「わざわざ見直してもらわなくて結構よ」 千春はとかずにまだ伝えていないと言った。 「いえ、まだ言ってないです。SNSを見て驚いて連絡をしたので」 「あの子が知ったらまためんどくさいことになりそうね」 「そうですよね。これは家族の問題ですから。とかずにも伝えないといけませんね。きっととかずもその家に行きたいというはずですから。素直に受け入れた方がいいですよ。とかずを怒らせない方がいいですからね」 10分後。 「母さん、どういうことだ?なんであんな豪邸が変えるんだよ」 とかずが怒鳴り込んできた。 「あなたにはもう関係ない話よ」 「おいおい、実の息子をそんな風に内がし城しろにしていいのかよ」 「それはこっちのセリフよ」 「いいから教えてくれよ。別にそれくらいいいだろう。金なんて全然なかったはずだぞ」 確かに昔は貧しかった。掃除グッズを手作りして細々と暮らしていた。 「ああ、金ないから貧乏臭いやり方でなんかやってたな」 「そのグッズを商品化したら売れたのよ」 「何それ?」 「清の知り合いに生活用品メーカーで勤めている人がいて、その人に清が私のことを話したのよ。そしたらそれを商品化しようってことになって色々と試作を重ねて発売したらこれがヒットしてまとまったお金が手に入ったのよ。それで家を購入したの」 とかずは実家のことを尋ねた。 「実家はどうするんだよ」 「お父さん亡くなったし、古い建物で70近い私が住むのはちょっと負担だったからね。取り壊して土地も売る予定よ」 「そうなのか。それじゃあその金を俺にくれよ。父さんの土地なら相続する権利はあるだろう」 私は冷たく言い放った。 「あの土地は私が相続したのよ。だからあなたに渡すお金なんて1もないわ」 とかずは苛立った。 「なんだよ。つまんねえな」 「それにあんたみたいに家族を大切にしない人間には一円だって渡したくないわ」 「まだ父さんのことを根に持ってるのか。悪かったって言ってるだろう」 「そんな言葉で誰が許せるもんですか?私はもうあんたを家族だとは思ってないから」 とかずは態度を変えて言った。 「俺は母さんのことを大切に思ってるよ。昔は全く思ってなかったけど、今は何よりも大切な存在だ」 私は笑った。 「あんたが急に優しくなったのは、私にお金があると知ったからだろう」 「そんなことないって」 とかずは清のことを持ち出した。 「清も母さんのことをよくわかってないけど、友たちにバレるとは思わないでしょう。あんな家族のことを何とも思ってない人にね」 「なんか言われた」 「一応掃除グッズがヒットしたことは話したわ」 「それで私のことを財布わりしてきた。あの人は本当に最低だな」 … Read more