「お母さん、出産終わりました。1ヶ月前に」— そう言った嫁は、私が孫に会うことを拒否した。家の格が違う、私の抱っこは嫌だと言い放ち、まるで人質のように孫を盾に年金を要求してきた。息子は「ガルガル期だから」と泣き言を言うばかり。でも、数日後に届いた写真の背景に写っていたのは、あの嫁の実家とは思えない高級なリビングだった。そして、その日から息子の連絡がぱったりと途絶えた。—…

「お母さん、出産終わりました。1ヶ月前に」 「え、予定日は来月じゃなかったの?」 「あれ?私、そんなこと言いましたっけ?息子から聞いたなら、太地が伝え間違えたんでしょうね。責めるなら記憶力のない我が子にお願いします」 「色々と言いたいことはあるけど、まずはおめでとう」 「ありがとうございます。うちの父にそっくりな可愛い男の子ですよ」 「予定通り里帰り出産したの?」 「はい」 「だったら、そんな遠くないし、少しお邪魔していいかしら?お祝いも渡したいし、赤ちゃんにも会いたいから」 「え、なんでですか?」 「いや、初孫だし、顔が見たいわ」 「でも私が産んだ子ですよ」 「息子の子でもあるでしょ?」 「いやいやいや、私が産んだ子なんで、私が誰に合わせるかは自分で決めますから」 「どういう意味?」 「正直、うちとそちらでは家の格が違うと思うんです」 「はい?」 「うちは父も母も安定してますけど、そちらは母子家庭で貧しくしてらっしゃいますよね」 「そりゃ夫を早くになくして女一人で息子を育ててきたけど、私も未だに働いてるし、生活には特に困ってないんだけど」 「結婚ってそういうもんじゃないじゃないですか。実家同士の交流とかもありますし」 「正直に言って、周りくどいのは苦手なの」 「じゃあ言いますね。お祝い事以外は今後関わらないでいたいんです」 「なぜ?」 「私の父と母は子供に触れられても嫌悪感がないんですが、お母さんが抱っこするってなったら、なんか嫌なんです」 「私は孫に会う権利もないっていうの」 「娘を産んでおくべきでしたね」 「仕方ないじゃない。太地一人しかいないんだから。じゃあ諦めましょっか」 「なんて人なの?」 「でも安心してください。さっきも言いましたけど、お祝い事はお呼びします。その代わり、私の両親に恥ずかしくない程度の金額でお願いしますね」 「な、何なのよそれ」 「うちは孫のためならなんだってしてくれると思うんです。それに見劣りすれば、恥を描くのは太地さんですよ。嫁としてそんな惨めな思いは見たくないんです」 「それはあなたの主観でしょ」 「とにかくそういうお付き合いってことで。今後とも長く、少ない年金を孫につぎ込んでくだされば、たまには顔くらい見せてあげますので」 「まるで孫を人質に交渉してるように見えるわ」 「それは誤解ですよ」 「もういい。息子と話すから」 数分後。 「スクショ見てくれた?」 「うん。みその園がごめん」 「あそこまで言われて黙ってないといけないかしら」 「多分、三杯みたいな感じになってると思うんだ」 「なんなのその言葉?初めて聞いたわ」 「最近はガルガルって言ってさ。産後の母親が他人に赤ちゃんを触られると花瓶になるらしい」 「ガルガル?聞いたことないわね」 「こう、出産したメスの動物が威嚇する様子だよ」 「ああ、猫とかそういうの確かにあるけど」 「自分の親はいいけど義理の親はダメとか、そういうのを産後特有のものだから、そのうち落ち着くと思う」 「でも生まれたばかりの孫に会いたかった。最近じゃ、新しい命に触れることも滅多にないし」 「そのことで喧嘩になったんだ。なんで俺の母親には合わせてやらないんだって怒ったら、離婚するってわめき出してさ」 「産後は情緒不安定になるものだけど、そんなに嫌だなんて」 「近いうちに連れて帰るから、少し待っててほしい」 「分かったわ。みその園の機嫌を損ねたら、どうしていいか分からないんだよ」 「早速尻に敷かれてるのね。情けな話だけど」 「動きを荒げただけで警察呼ばれたことがあってさ」 「そうなの?」 「仕事に影響したらと思うと怖くなって」 … Read more

8 September 2026

「ねえ、LINEでは返事するくせに、なんで家では私を無視するの?」 出産から三か月、夫は娘の世話を一切せず、私の頼みごとには全部「言い訳すんな」と返してきた。飲み会ばかりで、私が高熱で倒れた夜も「体調管理不足だろ」と言い放った。 限界だった私は、ご近所さんに娘を預けて病院へ行った。翌日、検査結果を握りしめて夫の前に立つと、彼はゲームをしながら「結果どうだった?」と冷たく聞いてきた。…

家の中で、夫は私をまるで透明人間みたいに扱った。LINEでは「うん」と返事が来るのに、隣に座ればスマホの画面すら見せてくれない。娘を産んでから三か月、会話は全て一方的な命令か、ため息だけ。 「俺の話すことなんてどうせ手伝えばかりじゃん」 食器を洗ってほしいと頼めば、大黒柱の手を汚す気かと笑われた。ゴミ捨てすら「玄関に出しとけ」と丸投げ。私が熱で動けなくなった夜も、夫は飲み会に出かけた。 「お前の体調管理不足だろ。言い訳すんな」 頭が割れるように痛くて、腰も砕けそうだった。娘は抱っこをやめれば泣き止まない。頼れる人は誰もいなくて、私は玄関の鍵を開けて、ご近所さんにLINEを送った。 「すみません、今夜だけ娘を見てもらえませんか」 翌日、病院の検査結果を握りしめて、私はひとつの決意を固めた。家に帰ると、夫はソファでゲームをしていた。私の存在すら認識していないかのように。 「検査結果、どうだった?」 ようやく口を開いたかと思えば、その口調は知らない人に向けるみたいに冷たかった。私はゆっくりと、一つの紙切れを差し出した。

8 September 2026

「もう限界です。離婚します」 そう言った瞬間、夫は笑った。「はいはい、またかよ」って。でも私は本気だった。約束を破るのは何度目か。一方的に決めて、私に押し付ける。義母のローンまで私に払わせておいて、「お前が悪い」って。そして1週間後、義母が突然現れて言った。「離婚届にサインさせたんですって? 嫁の自覚あるの?」 その時、夫の口から出た一言で、隠してきた200万の話がバレた。…

「もう限界です。離婚します」 そう言った瞬間、夫は馬鹿にしたように笑った。「あ? 離婚? お前、本気で言ってるのか?」 「本気です。あなたはまた約束を破った。今日、同僚を連れてくるって勝手に決めて、私にご飯を用意しろって言ったけど、私は残業だって言ったはずです」 「知らねえよ。俺はちゃんと約束しただろ」 「一方的に決めて、宣言しただけです。約束は相互同意で成立するんです。あなたのは押し付けです」 夫はまったく理解しようとしなかった。「約束破るやつは人として最低だな。悪いのはお前だ」 それだけじゃない。夫は自分の母親のローンのために、毎月20万円を私に払わせていた。「お前が払ってるのは当たり前だろ。俺の母さんだぞ」 「それはあなたが勝手に決めたことで、私が納得したわけじゃない」 私は言った。「今度こそ本気です。約束を守ってください。守れなかったら、次こそ離婚します」 夫は適当にうなずいた。「はいはい、分かったよ」 それから1週間後。義母が突然、私の家に現れた。彼女は開口一番、こう言った。「あなた、離婚届にサインさせたんですって? 嫁の自覚があるの?」 「それは、夫が約束を守らなかったからです」 「約束? あなたが夫に離婚を迫るなんて、私の時代じゃ考えられないわ。それに、40過ぎても子供を産まないで仕事ばかり。嫁失格よ」 義母は続けた。「うちのローンのことで不満があるんでしょう?」 「それは、義母さんが急に決めたことで、私が納得できる金額じゃありません」 義母は冷たく笑った。「あら、そう。でもあなた、それで全部払ってたの?」 その時、夫が口を挟んだ。「割分担だよ。俺は生活費担当。あいつは稼ぎがいいからな」 義母は驚いた顔をした。「ちょっと待って、あなた、前に言ってたわよね。200万の貯金があるって」 「……それは、その」 「あの200万、どうしたの?」 夫は黙り込んだ。そして、義母が思い出したように言った。「あなた、そのお金で何をしてたの?」 私はその場で、全ての真実を知ることになった。夫が私に内緒で、その200万を何に使っていたのかを。

8 September 2026

「車で迎えに来たぞ。ああ、でもお前は車に乗らないからついてくんなよ。」…

車のシートベルトを締めた瞬間、夫の大輔が冷たい声で言った。「車で迎えに来たぞ。ああ、でもお前は車に乗らないからついてくんなよ。」 私は耳を疑った。「どういうこと?」 「レンタカーが小さいんだよ。荷物入れたらお前の分のスペースないわ。」 「じゃあ荷物を減らせばいいんじゃない?送ることだってできるでしょ?」 「いや、子供たちの荷物は全部必要だろう。お前だけ歩いて帰ればいいじゃん。」 歩いて。ここから家まで6時間以上かかるのに。 「知らねえよ。お前が勝手に海外旅行行ったんだろ。俺を置いて海外旅行とかふざけんなよ。くそ嫁め。だから子供たちだけ迎えに来た。お前は徒歩で帰ってこい。」 「どうしてそんなことをするの?どんな理由があろうと空港に置き去りにするなんてありえないけど。」 「いや、俺たちこれから離婚するんだろう。だったら優しくする理由なんてないじゃん。」 離婚するからと言って、空港に置き去りにする必要はないでしょう。 「これはお前が俺にしたことへの仕返しだ。」 「仕返し?お前が俺に何をしたか忘れたのか。俺を置いて勝手に海外旅行に行ったくせに。」 「ちょっと待って。それに関してはちゃんとあなたを誘ったわよね。そしたらあなた仕事が忙しいから行けないって自分から断ったのよ。」 「誘った形だけだろう。どうせ俺が行けないって分かってて誘ったに決まってる。」 「それでも声はかけたわ。誘われてないと言われるのは違うでしょ。それにいくらむかつくからって空港に置き去りにするのは常識的におかしいわ。」 「お前に常識を語る資格あんの?大黒柱を置いていって楽しそうに旅行してさ、当て付けのように見せつけてきて何が常識だよ。普通は大黒柱を立てるもんだっての。」 「ちょっと待ってよ。そんなことしてないわよ。写真だって見せてないじゃない。」 「SNSで写真見たぞ。お前が投稿してたんだよ。海辺の写真めっちゃ楽しそうだったな。俺は日本で仕事をしてたのに。」 「それならあなたも来ればよかったじゃない。有給もあったしだいぶ前から伝えてたわよ。」 「言い訳すんなよ。とにかく俺を置いてったんだから、お前も置いて行かれる気持ちを味わえよ。」 ああ、呆れた。 「あなたに同額のお金を置いていったわよね。好きなところに行ってって言ったのに、あなたは使わなかったじゃない。」 「金の問題じゃねえんだよ。お前が俺を軽視してるってことが問題なんだよ。それにお前らは海外旅行で贅沢したんだろう。だったら歩くくらい我慢しろよ。」 「私も旅行先で仕事をしていたわ。在宅ワークだからパソコンを持って行ってたし。」 「在宅ワーク?パソコンカチャカチャやってるだけだろ。それを仕事って言うなよ。」 「あなた、デスクワークは仕事でしょ。在宅だってそうなんだけど。」 「お前のはお前だ。意味わかんないわ。というか仕事なら俺の方が頑張ってたんだぞ。毎日残業して家族のために金稼いでるのにさ、お前らが海外で遊んでる間も在宅ワークなんて好き勝手できるけど、俺は会社で上司に怒鳴られながら仕事してんだぞ。お前とは違うんだよ。」 「私の仕事を軽視するのはやめて。」 「軽視?事実だろ。お前が稼いでる金なんて俺の半分以下じゃん。俺が大黒柱なんだよ。だから俺の言うことは絶対なんだ。」 「大輔、あなた本当に何も分かってないのね。まあ、もういいわ。話し合いなんてとっくにできなくなってたんだから。」 そのまま私は空港に取り残された。子供たちは夫と一緒に車で帰っていく。私は6時間の道のりを歩いて帰るしかない。呆然としながら、ふと疑問が湧いた。本当にこれが仕返しなのか。それとも、もっと別の理由があるのか。私はポケットのスマホを取り出し、メッセージアプリを開いた。そこには、夫が旅行中に送ってきた異常なほど冷たいメッセージの数々が残っていた。あの時は気にしなかったけど、今見ると妙に引っかかる。あれは怒りだけじゃない。何かを隠しているような、そんな言葉遣い。私は深く息を吸い、歩き出すことにした。ただ、このまま黙って帰るつもりはなかった。

8 September 2026

「新築祝いに来といて、祝金がたった30万ってどういうこと?500万くらい包めよ。」 その言葉は、私が産んで育てた息子の口から出た。家族を呼んで新居を披露するはずの日、私はビールの箱を玄関前に積み上げて、自分の子に「帰れ」と言われた。 彼は言った。「じいちゃんに可愛がられてた俺の方が偉いんだ。母さんは一生俺の言うことを聞くんだよ」…

母さん、今どこにいる?家に向かってる途中だけど、どうしたの? 新築祝いのご飯が何も用意できなくてさ。材料もないってミが言うんだ。 それなら今から買い出しに行けばいいでしょ。でも親戚がもう集まり始めてて、動けないんだ。途中で適当に済ませるもの買ってきてくれない? 仕方ないわね。わかったわ。 10分後、今度はミから電話がかかってきた。 お母さん、ごめんなさい。うっかり材料を買い忘れちゃって。 忘れたなら仕方ないわ。私が今から買ってくるから、あなたは待っていなさい。 ありがとうございます。ところで、百貨店の地下に行けますか?あそこにいいお総菜とお寿司のお店があるんです。 ああ、あのちょっと高めのお店ね。わかるわ。 サーモンカルパッチョとカニクリームコロッケ、それから特上握り寿司の盛り合わせをお願いします。 え、全部指定なの?スーパーで十分じゃない? ダメですよ。社長も来るんですから、ここはしっかりしないと。 2時間後、私は重い荷物を抱えて家に着いた。ビール6本セットを4つ、日本酒の瓶を2本。車を貸してくれたとはいえ、駐車場から運ぶだけで腰が痛い。 悪い悪い、酒まで用意してないとは思わなくて。ミも本当にうっかりだよな。 わざとじゃないでしょ。あの子にそんな計算できるわけないわ。 そう言えば、母さんに言っておきたいことがあるんだ。 何? みんなの前じゃ言いにくいんだけど。 はっきり言えよ。 じゃあ言うわ。新築祝いに来といて、祝金がたった30万ってどういうこと?500万くらい包めよ。無理なら家の前に酒を置いてそのまま帰れ。 私は一瞬、何を言われたのかわからなかった。 せっかく来たのに、どうしてそんなこと言うの? 500万包んでこなかったからだろ。どうしても参加したいなら、残りの470万を今すぐ払えよ。 それじゃあ、十分相場の倍以上払ってるわよ。 払えないのか?ならこの家で一生働きなよ。母さん、家事は得意だったろ。父さんがいない今、その腕を活かさないのはもったいない。俺たちが使ってやるよ。 …利用の間違いでしょ。悪いけど、それは無理よ。 社長だったからって偉そうにしてるけど、母さんは俺のところまでのつなぎに過ぎないんだ。じいちゃんに可愛がられてたのは俺の方なんだよ。 確かにじいちゃんはあなたを可愛がってたわね。でも、それだけで何でそんなに偉そうにできるの? じいちゃんは会社の創業者だろ。母さんにも叔母さんにも厳しかったはずだ。でも、俺には全部言うことを聞いてくれた。欲しいものも、行きたいところも、全部叶えてくれた。だから、母さんも一生俺の言うことを聞くんだよ。 その言葉を聞いた瞬間、私の中で何かがはっきりと折れた。 後悔しないのね。 しないわよ。ならお言葉に甘えて帰らせてもらうわ。 帰れ、帰れ。 私はビールとお酒を玄関前に置いて、そのまま家を出た。 30分後、携帯が鳴った。妹のマキコからだ。 まきこ、今どこにいるの?戻ってこないから、みんな心配してるわよ。 息子に帰れって言われたのよ。 どうしてそんなことになったの? 新築祝いとして30万渡したんだけど、本当は500万包んで欲しかったみたい。そんなの無理だから、帰ってきたのよ。 何それ。二人とも大人でしょ。ちゃんと話し合えば… 私はそこで言葉を切った。話し合ってどうにかなる問題じゃない。あの息子の言葉は、もはや家族の情よりも金と権力でできている。私は深く息を吸って、妹にこう言った。 …まきこ、もし私がこの家を出ていくことになったら、あなたはどうする?

8 September 2026

娘がSNSに全てを暴露した――父の不倫、盗まれた300万、そして5年前から始まった復讐の計画。父親は笑っていた。「俺は勝ち組だ」と。でも本当の勝者は、最初から決まっていた。娘が優しく笑って言ったんだ。「パパ、それ、私が全部やったんだよ」って。

「おい、ちょっと待て。何だって?」 「SNS見たよ。パパ、やっぱり炎上してるね。ウケる」 「笑い事じゃないんだよ!店を奪った泥棒って、心当たりのないことで散々言われてるんだぞ」 「SNSでバズるのって、ストーリー性も大事なんだよね」 「ストーリー性?どういうことだ?」 「パパと私のLINE、それとパパと優香さんのLINE、全部SNSに上げたった」 娘の美優は、実の父親である大地に静かな笑みを浮かべた。 数日前まで、大地は有頂天だった。自分のレストランは回転1周年を迎え、美優の影響力でバズり、大繁盛していた。不倫相手の水希と共に、勝ち組人生を謳歌しているつもりだった。 「パパ、経営センスやばいね」 「だろ?才能だわ」 「うん。マジでお笑いの才能あるよ」 「は?お笑い?」 「経営センス。たがマジで言ってるの?」 「当たり前だろ。たった1年でこの繁盛具合だぞ」 「優香さんのレシピ盗んでさ、私のフォロワーに乗りしただけっしょ。バカでもできるから」 その言葉に大地は激怒したが、美優は微動だにしなかった。 「レビューは桜入れて操作してるんでしょ」 「は?そんなのしてねえし」 「実際SNSだとひどいよ。『SNS 料理はうまいけど女店員の接客度が最悪 2度といかない』って。女店員って水希でしょ。口コミ広がっててすぐに人来なくなるね」 「なんだよそれ」 怒涛の勢いで追い詰められ、大地は焦り始めた。しかし美優は続ける。 「安心して。すぐに対応するから。来月にはこの評価も逆転するって」 「なんだよ。それを先に言えよ。焦って損したわ」 「その時はパパはもうオーナーじゃないけどね」 翌日、美優はSNSにすべてを投稿した。娘の学費300万円を盗み、不倫相手とお店を開いた父親。そのレシピも元妻から盗んだものだった。美優の言葉は嘘ではなかった。事実だけを並べた投稿は、瞬く間に拡散された。 「お前、何やってんだよ!」 「自覚あんの逆にやば。父親がこんなのしてるとか、マジ無理」 「そんなのしたらこうなるのは分かりきってただろ!」 「パパのせいでしょ。私、一言も嘘とか投稿してないけど」 「こっちは迷惑してんだよ」 「それな。私はパパの娘に生まれてからずっと迷惑してんの」 大地が反論しようとした時、美優は核心を突いた。 「パパさ、私が経営学部受験した理由知らないっしょ」 「あ、知らねえよ。興味もない」 「私の実のママ、今も入院繰り返してんの。誰のせいでママが入院してると思ってんの?」 「あれはあいつが勝手に倒れて…」 「倒れるまで追い込んだのが誰か。元々体弱かったのにさ、パパが何回も不倫して精神不安定になって、挙げ句病気で入院したら離婚。ざけんな。じゃあなんでお前は俺についてきたんだよ。あいつのそばに行ってやりゃよかったろうが」 「そばに入れる状態じゃなかったじゃん。治療費もかかって働けない状態で、おじいちゃんたちもママの治療費でカツカツだし。そんなママを助けたくて経営学部入ったの。お金があれば一緒に暮らせるから。パパの言う下品な踊りもそのため」 「だからってこれは関係ないだろう。稼ぎたいなら勝手に稼いであいつのとこ行けよ。俺を巻き込むな」 「は、ママを追い込んだ奴を私が許すと思ってんの?ママの分もやってやろうと思ってたんだよね。優香さんには悪いけど利用させてもらった。あんたが再婚して何もしないとは思えなかったから」 大地は激昂したが、美優はまったく動じなかった。彼女は冷静に続ける。 「無理だから。そんな頭があったらこんなバカなこと最初からしてない。優香さんを利用して、私を利用して。全部他人の力じゃん。下品な踊り踊ってる恥ずかしい娘に頼ってたんでしょ。恥ずかしいのはどっちだよって話。やってることが卑しいんだよ」 10分後、大地は優香に電話をかけていた。 「ゆうか、お前これ知ってたんだろ?SNSの炎上?」 「そりゃそうよ。私とのLINEもさらされてるんだから」 「何勝手に言ってくれてんだ。このままじゃ俺は破滅だぞ」 「ねえ、大地。あなたに学費使われた日、みゆちゃんが私に何て言ったかわかる?」 「知るかそんなこと」 「あの子、私の時間を1年くださいって言ってきたの」 「は?1年?」 「LINEではふざけた感じだったけどね。家に帰ってきてすぐに土下座して頼んできたの。『いつも笑ってて表裏してるみゆちゃんが真剣な顔で、取られた300万は取り返します。それ以上のものもあげますから力を貸してください』って」 「ちょっと待てよ。300万を取り返す以上のもの?どっから出てくるんだ、そんなもん?」 「もちろんあなたからよ」 … Read more

8 September 2026

結婚式で鼻がないと笑われ、翌日にはSNSで炎上。でも、すべてを仕組んだのは、よりを戻したいと思っていた元婚約者だった——。復讐と再生の物語、ぜひ最後までご覧ください。

式場の責任者である私は、あの日、結婚式を台無しにした男の顔を忘れない。彼、エジは、私の顔に鼻がないことを面白おかしくネタにし、会場中が笑いものになった。だけど、それだけでは済まなかった。翌日、SNSに私がケーキに顔を突っ込む動画が拡散され、炎上。会社には問い合わせが殺到し、自宅待機を命じられてしまった。 親友のトエが調べてくれた。投稿したアカウントはすべて作成日が同じで、フォロワーもほぼゼロ。明らかに業者による“サクラ”だと判明した。そして、依頼主が誰かを特定するために、私たちは法的措置を取ると伝えたところ、あっさり白状した。依頼主は、あの元婚約者のエジだった。 エジは言った。「女は落ち込んでる時に慰められると簡単に落ちると思ったんだよ」と。私は呆れて、彼への信頼を完全に失った。そして、婚約破棄の慰謝料、名誉毀損の賠償、式場のキャンセル料、私の治療費——すべてを請求した。ドレスの修復費も。彼は「高すぎる」と叫んだが、私の顧問弁護士が言うには、これでも控えめな額だそうだ。結局、彼の会社は倒産し、彼は警察沙汰になるほどのトラブルを起こした。 あれから私は、父から「次の社長としての自覚を持て」と言われた。最初は不安だったが、トエが「あなたは見た目も中身も魅力的よ」と励ましてくれたおかげで、自信を持てるようになった。今は、新しいプロジェクトも成功し、ホテルは大盛況だ。もう、誰かに傷つけられることはない。私は、自分を信じて生きていく。

7 September 2026

お母さんの嘘で婚約者が逃げていった。育ててくれた母親と、愛する人。どちらを信じる? 親の愛情が誰かを不幸にするとき、あなたはどうしますか?

「ねえ、私、本当は結婚式をあげたかったの」 誠のその言葉に、とやは驚いた。キャンセルを決めたのは母の強い主張だったからだ。でも誠がそこまで望んでいたなんて、全然知らなかった。 「なあ、母さん。誠に嘘をついてたのか?」 「何言ってるの。私はあなたのためを思って言ってるだけよ」 とやは混乱した。育ててくれた母と、1年ちょっとしか過ごしていない誠。どちらを信じればいいのかわからない。 「もちろん母さんだよ」 「そうでしょ。誠さんは私に嫉妬して嘘をついてるのよ」 その言葉に、とやは頷くしかなかった。でも、心のどこかで引っかかるものがあった。 姉に相談すると、意外な返事が返ってきた。 「あんたね、誠さんを信じられないなら別れなさいよ」 「姉ちゃんはなんでそんなに強いんだよ」 「私、昔、婚約者に一方的に別れを告げられたの。お母さんが嘘をついて、私のことを悪く言ったから」 姉の話を聞いて、とやははっとした。母は昔から、人の人生を壊すような嘘をつくことがあるらしい。 「誠さんには同じ思いはさせないから」 姉はそう言い残して、母と絶縁した。 とやは誠に会いに行こうと決めた。でも、その前に母がまたひと芝居打っていた。 「誠さん、浮気してるわよ。鈴木さんが見たって言ってたわ」 「写真もあるんだろ?」 「もちろんあるわ」 翌日、とやは誠に詰め寄った。 「お前、浮気してるんだってな」 「は? してないよ。それ、従兄弟のいこと買い物行っただけ。誕生日プレゼントの下見だったんだ」 「じゃあなんで内緒にしてたんだよ」 「サプライズしたかったからに決まってるでしょ!」 とやはまた母の嘘を信じてしまった。誠は怒り、弁護士に相談した結果、慰謝料250万円を請求すると言い出した。 「お前、大人としての自覚あるのか? いつまで母さんの言いなりなんだよ」 「そんなことない!」 「私は子供のとやとは付き合えない。別れよう」 誠はそう言って、去っていった。とやは立ち尽くすだけだった。 その後、誠が母のところへ直接行き、はっきりと言った。 「お母さんの嘘で、どれだけ人が傷ついたか分かってますか? 私はあなたを訴えます」 母は激怒したが、誠は引かなかった。親戚中に広まった嘘、電話でのなりすまし、すべてが明るみに出た。 「私だってかわいそうな女なのよ」 「可哀そうだからって、人を不幸にしていい権利はありません」 誠の言葉に、母は何も言えなくなった。 その後、とやは真実を知った。母がすべての嘘をついていたことを。でも、もう誰も信じられなくなっていた。精神的に不安定になったとやは、仕事もできなくなり、部屋に引きこもってしまった。 母は離婚され、パートもクビになり、借金に追われる毎日。誠は絶縁した姉と一緒に、ようやく本当の結婚式をあげることができた。 「これからは、好きなことをして過ごそうね」 誠の笑顔に、姉は深く頷いた。

7 September 2026

自分を置いて海外旅行に行った妻への仕返しに、空港で置き去りにした結果…最悪の代償を払うことになるとは思わなかった。

車で迎えに来た。ああ、でもお前は車に乗らないから、ついてこなくていいぞ。どういうこと?レンタカーが小さかったんだ。荷物を入れたら、お前の分のスペースがないんだよ。じゃあ荷物を減らせばいいんじゃない?送ることだってできるでしょ?いや、子供たちの荷物は全部必要だ。お前だけ歩いて帰ればいいだろ。歩いて帰る?ここから家まで6時間以上かかるんだぞ。知らないよ。お前が勝手に海外旅行に行ったんだろ。俺を置いて海外旅行に行くなんて、ふざけんなよ。本当にひどい妻だな。だから子供たちだけ迎えに来たんだ。お前は徒歩で帰ってこい。どうしてそんなことをするの?どんな理由があろうと、空港に置き去りにするなんてありえないでしょ。いや、俺たちはこれから離婚するんだろ。だったら、優しくする理由なんてないじゃないか。離婚するからと言って、空港に置き去りにする必要はないでしょう。これはお前が俺にしたことへの仕返しだ。仕返し?お前が俺に何をしたか忘れたのか。俺を置いて、勝手に海外旅行に行ったくせに。ちょっと待って。それに関しては、ちゃんとあなたを誘ったわよね。そしたらあなたが仕事が忙しいから行けないって、自分から断ったんでしょ。誘っただけだろ?どうせ俺が行けないって分かってて誘ったんだろ。それでも声はかけたわ。誘われてないと言われるのは違うでしょ。それに、いくら腹が立ったからって、空港に置き去りにするのは常識的におかしいわ。お前に常識を語る資格があるの?何だって?大黒柱を置いていって、楽しそうに旅行してさ、当て付けのように見せつけてきて、何が常識だよ。普通は大黒柱を立てるもんだろ。ちょっと待ってよ。そんなことしてないわよ。写真だって見せてないじゃない。SNSで写真を見たぞ。写真?蒼が投稿してたんだよ。SNSでさ、海辺の写真、すごく楽しそうだったな。俺は日本で仕事をしてたのに。それならあなたも来ればよかったじゃない。有給もあったし、だいぶ前から伝えてたわよ。言い訳するなよ。とにかく、俺を置いていったんだから、お前も置いていかれる気持ちを味わえよ。ああ、呆れた。あなたに同じことを言っても無駄みたいね。好きなところに行ってって言ったのに、あなたは使わなかったじゃない。金の問題じゃないんだよ。お前が俺を軽視してるってことが問題なんだ。それに、お前らは海外旅行で贅沢したんだろ。だったら、歩くくらい我慢しろよ。私も旅行先で仕事をしてたわ。在宅ワークだから、パソコンを持って行ってたし。在宅ワーク?パソコンをカチャカチャやってるだけだろ。それを仕事って言うなよ。全部、遊んでただけじゃないか。あなたはデスクワーカーで、私は違うって言いたいの?在宅だって、ちゃんと仕事なんだから。お前のはお前のだろ。意味が分からないわ。というか、仕事なら俺の方が頑張ってたんだぞ。毎日残業して、家族のために金を稼いでるのにさ。お前らが海外で遊んでる間も、在宅ワークなんて好き勝手にできるけど、俺は会社で上司に怒鳴られながら仕事してたんだ。お前とは違うんだよ。私の仕事を軽視するのはやめて。事実でしょ。お前が稼いでる金なんて、俺の半分以下じゃないか。俺が大黒柱なんだよ。だから、俺の言うことは絶対なんだ。大輔、あなた本当に何も分かってないのね。まあ、もういいわ。話し合いなんて、とっくにできなくなってたんだから。ああ、そうだな。同じ時間に空港に着いたんだったな。疲れた。ちょっと、2人ともどこにいるの?ゲートを出たとこのお土産屋さんにいるよ。お腹空いちゃって。お土産のお菓子を買おうかな。俺は何か食べたい。そうね。お腹空いたわ。何か食べて行かない?あ、それなら、私、日本に帰ってきたから、日本食がいいわ。俺はハンバーガーが食べたいんだけど。母さんは?私はうどんかしら。みんなバラバラすぎるだろ。お店はどうするんだよ?空港のフードコートになら、全部あるかもしれないよ。ああ、いいじゃん。フードコートの方が早いね。お腹空いたし。じゃあ、フードコートにしましょうか。母さん、どこにいるの?ゲートの近くのトイレよ。私たち、そっちに行くね。あとさ、父さんから、迎えに来てるってメッセージが来てるんだけど。第2ターミナルの出口前にいるってさ。え?父さんが?うん。ていうか、今更何?気持ち悪いな。見え見えすぎて痛いよ。しかも、母さんを置いていくとか、普通に人としてありえないんだけど。え、ちょっと待って。なんでその話を知ってるの?父さん、さっき俺にもLINE送ってきたから。お前らの荷物は俺が運ぶから、待ち合わせ場所に来いってさ。車は小さいから、母さんは置いていくってさ。はあ?何それ?意味が分からないわ。私にはそんなこと言ってなかったんだけど。父さん、なぜか俺には色々話すんだよ。あんたも大変ね。変なことを聞かされて。ていうか、マジでありえないわ。わざわざレンタカーを小さくして、母さんを乗せないつもりなんでしょ。やってることが気持ち悪すぎるわ。私たちは母さんと帰るから。あなたたちにまで、そんなことを言ってたのね。2人とも、ちょっと父さんと話したいこともあるから、先に食べててくれる?え、でも、すぐに戻るわ。同じ時間に。おい、既読スルーするなよ。返事しろ。うっさいな。私は母さんと帰るから、そっちには行かないわよ。は?何言ってんだ?荷物を運んでやるって言ってんだろ?いらないって。自分で持てるし、そっちには絶対に行かないから。生意気なことを言うな。さっさと来い。たく、見た目もブスのくせに、可愛げがないな。そんなんじゃ、誰にも愛されないぞ。もういい。お前、子供たちを連れてこいよ。なんで無視してんだ?返事したくないってさ。それと、子供たちは私と一緒に電車で帰るって言ってるわ。は?何言ってんだ。俺が送ってやるって言ってんのに、なんでわざわざそっちに行くんだよ。子供たちは自分で持てるって言ってるの。しつこいからって、今はあなたのLINEも見たくないそうよ。はあ?なんだそれ?子供のくせに、偉そうに。そうやって子供を下に見るのはやめて。実際、子供じゃないか。ああ、分かった。もういいわ。それより、あなたと少し話したいことがあるんだけど。話すことなんてないよ。どうせ離婚するんだし。なら、このまま話すわ。あのね、大輔、1つ言い忘れていたことがあるの。なんだよ。私たち、もう離婚してるけど。は?何言ってんだ?離婚届け。旅行に行く前に出したわ。もう受理されてる。ちょっと待てよ。勝手に出すなよ。勝手に?あなたも離婚に同意したでしょ。話し合いの末に決めたのよ。勝手に出すとか、聞いてない。いや、何言ってるの?同意したんだから、出すタイミングはあまり関係ないでしょ。それとも、自分で出したかったわけ?くそ、俺を騙しやがったな。何をどうしたら、これで騙したことになるのよ。それと、私たちはこのまま海外移住するわ。だから、あなたに会うつもりはないの。え、海外移住?どういうことだよ。今回の旅行は確かに旅行だったけど、一緒に移住の手続きをしていただけよ。もう日本には戻ってこないわ。ああ、そんなこと勝手にしてたのかよ。勝手に?そりゃ、私たちはもう他人なんだから、勝手にするわよ。家にも帰らないし。というか、その家、もう住めないわよ。売却しちゃったから。売却?あの家は私の名義で、ほとんど私がお金を出していたわよね。だから売ったの。私のものなんだから、それこそ勝手にするわ。財産分与の対象でもないし。そんな、じゃあ、俺はどこに住めばいいんだよ。知らないわ。それはあなたの問題よ。どこかに家でも借りればいいじゃない。でも、そんな暇もないかもしれないわね。弁護士から正式に連絡がいくけど、あなたに対する慰謝料を請求するわ。慰謝料?俺は何もしてないぞ。そういうのは浮気をしたとか、手を上げたとか、そういうものだろ。何もしてない。本気で言ってるの?あなた、何度も何度も子供たちを傷つけたわよね。蒼には顔が不細工だと言って、レンには引きこもり気質って馬鹿にして、全部録音してあるわ。それくらい、冗談だろ。大体、からかっただけで、そんなことを言うなんて、おかしいぞ。親子なんだから、それくらいのコミュニケーションはあるだろう。冗談で済む話じゃないわ。子供たちは本気で傷ついてた。何度もやめてって言ったのに、あなたは聞かなかったわ。話し合いだってしたのに、忘れたわけ?いや、あれはそこまで深刻だとは思わなかったわ。その認識なら、私たちは一生家族に戻れないし、戻るつもりもない。でも、あなたは父親。父親としての責任を果たしてもらうわ。蒼は18になるから、もう無理だけど。レンは17歳だから、養育費の対象よ。1年分だけど、それも払ってもらうから。養育費?お前、海外移住するんだろ。なんで俺が払わなきゃいけないんだよ。あなたに扶養義務があるからよ。レンはまだ未成年だから、養育費も発生するわ。1年分だけよ。それ以降は請求しないわ。こちらも早く縁を切りたいから。ふざけやがって。そんなの言いがかりじゃないか。ちゃんとした責任と権利よ。それと、今後一切の接触を禁止するわ。私にも、子供たちにも連絡しないで。接触禁止?何様のつもりだよ。子供たちは俺の子供でもあるんだぞ。子供たちはもうあなたと関わりたくないって言ってるわ。尊重してあげて。そんなわけないだろ。お前が吹き込んだに決まってる。吹き込んでないわ。子供たちが自分で決めたの。嘘つくな。こんなのありえない。特にレンは俺の味方だったはずだ。味方?なんでそう思ってるの?レンもあなたのこと嫌ってるわよ。というより、誰もあなたのことなんて好きじゃないわ。当たり前よね。話も聞かない。馬鹿にし続けて、傷つけられたら、誰だって愛情をなくすものよ。同じ時間に。おい、レン。お前、父さんのこと好きだよな。母さんがおかしなこと言ってるけど、お前は分かってくれるはずだ。男同士、分かり合えるよな。おい、既読スルーしてんじゃねえぞ。返事しやがれ。10分後。おい、返事しろ。今更何?お前、お母さんに洗脳されてるぞ。お父さんはお前のことを大事に思ってるんだからな。だから、一緒に帰ろうな。あのさ、キモいんだけど。は?大事に思ってる?バカじゃないの?嘘つかないで。そんなこと思ってないくせに。そんなことないぞ。俺は父親だからな。父親として、何もしてないよね。そんなことない。じゃあ、なんで一生懸命働かないって言ったの?それは扶養義務があるからでしょ。しかも、働いてるなら、お母さんもだし。でも、俺は父親だぞ。だから何?そういう話じゃない。お父さんはさ、私のことブスって何度も言ったよね。そんなには言ってないだろ。物心ついた頃からだよ。最初は可愛げないとかだったかな。でも、どんどんひどくなっていった。だから、中学生の時、私が泣きながらやめてって言ったの、覚えてる?お父さんは冗談だよって笑い飛ばしたよね。でも、私、本気で傷ついてた。その後も何度も何度も言い続けたよね。う、そうだったっけ。その場でヘラヘラしてたし。どうせ覚えてないんでしょ。でも、私は全部覚えてる。私が海外の大学に行きたいって言った時も、お前みたいなブスが海外に行っても無駄だろって笑ったよね。あの時、私の中でお父さんへの愛情が完全に消えたんだ。それは親子なんだし、冗談だろ。冗談?それ以前に、親しき中にも礼儀ありだよ。親子だからって、何をしてもいいわけじゃない。私は所有物じゃない。私、本気で傷ついてたんだけど。冗談にそんな本気になるなよ。冗談で人を傷つけていいと思ってるの?私、何度もやめてって言ったよね。でも、お父さんは聞かなかった。だから、もう期待するのはやめようって思ったんだ。お父さんは変わらないって。もう話すことは何もないよ。だって、私の気持ちは18年間、1度として伝わらなかったんだもの。今更、どうでもいいわ。同じ時間に。あのさ、父さん、鬱陶しいよ。何度もLINEしてこないでもらえるかな?レン、お前までバカなこと言わないよな。バカなこと?は、父さんが嫌いだって話?みんな嫌いだから、間違ってないじゃん。お前は俺の味方だろ。なんでそう思うの?実の息子に、引きこもり気質って言って笑ってたくせに。あれは本当のことだろう。本当のことを言って、子供に寄り添わないのが親なわけ?学校が辛いって相談した時も、甘えるな。男なら我慢しろって突き離してさ。母さんは話を聞いてくれたよ。ちゃんとさ。それは母さんが甘やかしてるだけだ。そう。母さんも最初は少し頑張ってみたらって言ったよ。ああ、でも、その後にやってみて辛かったら無理しなくていい。やらないうちは言い訳と捉えられてしまうからって、筋が通ったことをちゃんと言ってた。父さんは突き離して、それっきり、その後話しかけにすら来なかったじゃないか。それは、ちょっと距離を置こうかなって。へえ。その割には、俺がプログラミングに夢中になった時、こう言ったよね。ゲームばっか作って、外に出ろよってさ。あれ、完全にバカにしてたよね。そんなつもりはない。お前の受け取り方が悪いだけだ。そうやって、言い訳を繰り返していたから、俺たちの子供の気持ちも分からなかったんだろ。俺たち、かなり前から父さんのこと見てたよ。何も見えてなかったのは、父さんだけだ。なんだと?俺をバカにしてるのか?現実を見なよって話。誰も父さんの味方なんてしないけど。お前、いつも俺の話は聞いてただろう。俺が黙って父さんの話を聞いてたのは、父さんと話しても無駄だと思ったから、聞き流していただけ。話してる内容も偏見ばっかりで、同じ血が流れてるのも気持ち悪かった。はあ。生意気なことを言うな。この際だから言うけどさ、父さんって考え方が古いよ。それに、子供の前で平気で母親を下げるとか、ダサすぎる。下げる?俺はそんなことしてないぞ。自覚がないんだ。なおさら終わってる。女はニコニコしとかないとな。お前は母さんみたいなおっかない女を娶るなよ。そんなことを言って、よう言うよ。あれは下げるとか、そういう意味じゃ…。子供の前で言うことじゃないだろ。父さんは俺が黙ってるから、同意してると思ってたみたいだけど、違うよ。僕はお父さんのこと、時代錯誤の偏見者だと思ってた。相手をするのが面倒だから、適当に相槌を打ってただけ。母さんは僕の才能を理解してくれたけど、父さんは馬鹿にし続けたし、もう2度と連絡しないで。くそ、親に向かってその態度はないだろ。クソガキめ。数週間後。おい、母さん、助けてくれ。会社で慰謝料請求のことが上司に知られて、給料差し押さえの件で解雇されそうなんだ。それはあなたの問題でしょ。このままじゃ生活できない。お願いだ。慰謝料請求を取り下げてくれないか?取り下げる?なぜ私がそんなことをしなきゃいけないの?俺が悪かった。本当に反省してる。あなたに何度チャンスを上げたと思ってるの?私、何度も話し合おうとしたわよね。でも、あなたは聞かなかった。でも、俺だって今、傷ついてる。18年間傷つけられた私たちの傷に比べれば、あなたの傷なんて軽いわよ。でも、お前、稼ぎとかないだろ。海外で路頭に迷うつもりか?在宅ワークをしていると言ったわよね。あれ、翻訳の仕事なの。海外で仕事をしないかって、ちゃんと誘われたのよ。なんだって、あなた、何も知らないわよね。興味もないからかしら。蒼は海外の大学に行きたいって言ってたし。レンには才能がある。分かる?あなたは必要ないの。もう、私たちの人生から消えてくれない?これは冗談じゃないわよ。数日後。蒼、レン、せめて連絡だけでもくれよ。なあ、俺を置いていかないでくれ。頼むよ。お前たちが頼りなんだ。同じ時間に。なんか、お父さんからすっごいLINE来てる。こっちも俺も同じく。お母さんも話し合い終わったみたいだし、もう残しとかなくていいよね。うん。いいと思う。俺ももう関わり合いたくないし。それじゃあ、ブロックしちゃおう。これでようやく、俺たちも自由だな。うん。親って不思議よね。子供は裏切らないと思ってるの。裏切らないのは、同じだけの愛情を返してくれる人って条件があるのを忘れてるんだろ。大人も余裕がないんだろうね。私たちはそんな大人にならないようにしないと。大丈夫だろ。俺たちは母さんの子供なんだから。その後、私たちが日本を立ってから数日後、大輔の元に弁護士から正式な書類が届きました。慰謝料の請求額、養育費の請求額、そして接触禁止の通知が記載され、支払えない場合は給料差し押さえの手続きをされるでしょう。さらに、家も売却されたことから、安いアパートで1人暮らしを始めたそうです。大輔は毎晩、1人でカップ麺をすすりながら、俺は何も悪くないと自分に言い聞かせましたが、心のどこかでは分かっていたようです。全ては自分の行いが招いた結果だと。大輔のスマートフォンには、蒼とレンからのメッセージは一切来ず、子供たちにはっきり拒絶された彼は、孤独な夜を今後、一生過ごすでしょう。一方、私と子供たちは海外での新生活を順調にスタートさせました。蒼は希望していた海外の大学に無事合格し、新しい環境で勉強に励んでいます。眼鏡を外してコンタクトレンズにし、少し化粧もするようになった蒼は、大学の友人たちから綺麗だねと言われることも増えました。父親から何度もブスと言われ続けた傷は完全には癒えていませんが、新しい環境で少しずつ自信を取り戻しています。レンも新しい学校に転入し、同じ趣味を持つ友人たちと出会いました。プログラミングのコミュニティに参加し、たくさんの人に認められています。引きこもり気質だと馬鹿にされ続けた自分が、こんなに多くの人に認められている。それが何よりも嬉しかったようで、今は笑顔が絶えない生活を送っています。子供たちには今まで我慢をさせてしまったため、母親としてできることをしたい。海外での生活は大変ですが、3人で支え合って生きていこうと思います。大輔のいない生活は、想像以上に穏やかで幸せでした。もう誰かの顔色を伺う必要もない。もう誰かに傷つけられることもない。3人それぞれの夢に向かって、自由に歩いていける。これ以上、幸せなことはありません。

7 September 2026

姉から突然かかってきた電話の第一声は「謝らないといけないことがあって」だった。そして続けて「あなたの家の庭でバーベキューしてたら、家が燃えちゃった」と言った。冗談だと思った。でも姉は本気だった。「わざとじゃないから」と泣きながら言う姉に、私は怒りを通り越して呆れた。しかも姉は「私たちに怪我がないから安心して」と、まるで自分たちが被害者かのように話す。家族なんだからと、責任を取る気は微塵もない…

姉から突然電話がかかってきたのは、休日の昼下がりだった。用件を聞いて、私は言葉を失った。 「なおこちゃん、ちょっと謝らないといけないことがあって。昨日あなたの家に行ったのよ。それで庭でバーベキューしてたら、家が燃えちゃった」 「は?何ですって?」 「本当にごめんね。でもわざとじゃないから」 わざとじゃないとか、そんな問題じゃない。しかもよりによって、なぜこんな日に。姉は続けた。 「どうしてもバーベキューがしたかったのよ。ちょうどあんたの家があったから使っただけ。でも私たちには何の怪我もないから安心して」 「そういう問題じゃないでしょ」 「冷たいわね。家族なんだからこれくらいで怒らないでよ。一応こうして報告してあげたんだから。それにちょっと庭が燃えて、家の壁が焦げたくらいのことよ。あとはそっちで何とかしてね」 「ちょっと待ってください。お姉さんたちは責任を取らないんですか?」 「私たちに何の責任があるのよ?これは単なる事故よ。私は悪くない。私を悪者にしようって、そうはいかないからね」 そう言って姉は一方的に電話を切った。私は混乱したまま、今度は兄に電話をした。すると兄は「今回は運が悪かったと思うんだな」と、まるで他人事のように言い放った。 「ふざけないで。そもそも勝手にうちの敷地に入るなんて非常識なことをしないでよ」 「兄弟なのに家に入るのに許可がいるのかよ」 「当たり前でしょ。あそこは私だけのものじゃないんだから」 「何をわけのわからないことを言ってるんだ。とにかくお前はきちんとした処理をしろ。家の持ち主としての責任を果たせ」 自分のことは棚に上げて、よく言えるものだ。兄は「望美がやりたいと言い出したんだ。夫として妻の願いを叶えるために知恵を絞った結果、お前の家が一番いいと思ったんだよ」と続けた。そして、信じられない言葉を口にした。 「そもそもお前が家を買うなんて百年早かったんだ。一体どうやって買ったんだ?宝くじでも当たったのか?悪いことでもしたんじゃないのか。だから今回のような天罰が下ったんだよ」 「自分たちでやったことを勝手に神様のせいにするのはやめなさいよ。まともに大学に入ることすらできなかったくせに、家を買う金が貯められるわけがないだろう」 兄は私の学歴を引き合いに出して贬した。私たち夫婦は生活を切り詰めて、コツコツ貯金して家を買ったのに。それを「不必要な浪費をしてるからじゃないの?」と逆に責められた。そして兄は「とにかく話はこれで終わりだ。こっちは仕事で忙しいんだ」と、これまた一方的に電話を切った。 次に母に電話をすると、母も驚いていた。母は「あの子たち、どうしてそんなことをしたのよ」と怒ってくれたが、私は家に帰って状況を確認すると伝えた。 家に向かう途中、姉からまた電話がかかってきた。今度はどうしてそんなことをしたのか、真正面から問い詰めた。 「お姉さん、どうしてこんなことをしたんですか?私はお姉さんのこと、妹のように可愛がってもらってたと思ってたのに」 「ぶっちゃけたことを言うと、むかついたのよね」 「何か気に触ることをしましたか?」 「したわよ。なんで家なんて買っちゃってんの?私たちよりもいい暮らしをするなんて許せないわよ」 「それが理由なんですか?」 「そうよ。私があんたを可愛がってたのは、私よりも出来損ないだったから。見下していい気持ちになれるから。なのに私たちよりも上に行こうとしたでしょう。そんなの裏切りよ。裏切り者にはしっかりと制裁を与えないとね」 姉はさらに続けた。「あんたの夫だって陽介と比べたら大したことないわ。中堅会社の課長でしょ。その程度で生意気なことをしないでよ。あんたたちは私たち夫婦よりも質素な生活をしてるから可愛いなって思ってたのよ」 「だから家に火をつけたんですか?」 「そこまではしないわよ。やっても良かったけどね。あくまで家をめちゃくちゃにしてやろうと思っただけ」 私は震える声で、一つだけ確かめたいことがあると言った。 「お姉さんがバーベキューをしたのは、庭付きの家だったんですか?」 「そうよ」 「うちはタワマンで、庭なんてありませんけど」 「え?」 「とりあえず今言えることはそれだけです。残りは追って連絡します」 私は電話を切り、そのままマンションに到着した。しばらくして、姉からまた電話がかかってきた。 「本当にマンションだったの?だって私は庭付きの一軒家を買ったって聞いてたわよ」 「どうやら勘違いがすっぽり抜けていたようです。確かに一軒家を買うつもりで動いていましたし、お姉さんにはその時に話をしてました。でも実際はその一軒家を買うのはやめたんです。都心にあるタワマンを購入したんですよ」 「なんでよ」 「今はそれは関係ないです。とにかく私たちが引っ越すところは、お姉さんたちに相談していたあの家ではありません。つまりお姉さんたちがバーベキューをしたのは、赤の他人の家だということです」 「嘘でしょ?」 「嘘じゃないですし、誰の家であれやったことは変わりませんよ」 「あんたがちゃんと説明をしてたらよかったのよ。そうしたら私たちのマンションで嫌がらせをしていましたか?」 「そうよ。ふざけないでください。私たちの家ならOKなんて、そんなことはないですよ。私たちは結婚してからずっと素敵な家に住みたいねと話してました。そのために生活を切り詰めて貯金をしてきたんです。それを生意気だとか、そんなわけのわからない理由でめちゃくちゃにしていいわけないでしょ」 「そんなに家が欲しかったのなら、あなたたちだって家を買えばよかったんです」 「こっちだって色々と事情があるのよ」 「そんなの知りませんよ。だとしても私たちに嫌がらせなんてしないでくださいよ」 姉は怒鳴った。「高卒のくせに偉そうなことを言うんじゃないわよ!」 「学歴は今関係ないでしょ。それに私と喧嘩してる場合じゃないですよ。あなたが火事を起こしたのは他人の家です。きっと今頃大騒ぎになってるわ。大事になる前に、素直に警察に行った方がいいんじゃないですか?」 「警察?」 「それじゃあ私たちは引っ越しの準備をしないといけないので、これで失礼します」 「待ちなさいよ。あんた、変なことをしないでよね。余計なことを言うなって言ってるの」 「でももう母には話はしちゃいましたよ」 「あんたね!」 … Read more

7 September 2026