明日の結婚式を前に、彼は私の親友をLINEで紹介してほしいと言った。でも、その会話の中で彼が放った一言が、私の世界をひっくり返した。「甘やかされて育ったお嬢様の力量なんて高が知れてる」――その言葉が、彼の本心だったのかもしれない。私は彼の父親の会社を助けるために出資までしたのに、彼はそれを当たり前だと思っていた。そして、私が「本当に愛してる?」と聞いたとき、彼は一瞬ためらって「うん」とだけ言…

明日の結婚式を前に、私はどうしても彼に親友を紹介してほしいと頼んだ。でも彼は残業中で、LINEでの挨拶だけで済ませてほしいと言う。 「ごめん、でも当日はゆっくり話せないからさ。せめてLINEだけでも。」 「まあいいけど、早く終わらせてくれる?毎日残業してるから疲れてるんだ。」 「仕事熱心だね。」 「そりゃ親父の会社は倒産寸前だからな。親父も資金繰りに苦労してるんだよ。」 彼の父親は大企業の社長で、彼は入社してすぐ課長になったらしい。 「大企業を経営する社長を父に持つのはいいよな。で、入社して課長になったんだろ。」 「そんなことないよ。私も一生懸命仕事してる。」 「はいはい。仕事してるつもりでいればいいよ。甘やかされて育ったお嬢様の力量なんて高が知れてる。」 私は悔しかったけど、彼の言うことも一理あると思った。でも、だからといって努力を否定されるのは納得できなかった。 「でもお父さんの会社が所有している土地は有望だから、うちが出資することになったんだ。地元密着型の不動産屋だからね。私たちよりこの地域のことに詳しいのは助かるよ。」 「そうか。てか、早くその親友とやらを紹介してくれ。早く仕事に戻りたいんだから。」 「ああ、ごめんね。今すぐ親友の連絡先を送るよ。」 「早く終わらせろよ。」 5分後、親友の江が登場した。 「初めまして、江です。ここでは高校からの親友で、今は同じ会社の広報戦略室で働いてます。どうぞよろしく。」 「あなたが某さんでしたか?話は聞いてますよ。何でも学生の頃は男子顔負けの柔道部だったとか。」 「そうですね。その辺の男には負けませんよ。」 「すごいですね。こりゃ気をつけなきゃ。」 江との会話はスムーズだったけど、彼の態度はどこか投げやりだった。 「この度はご結婚おめでとうございます。結婚するということは、ここのことを愛してるんですよね。」 「おかしなことを聞く人だな。そりゃ愛してますよ。じゃなきゃ結婚しないでしょ。」 その時の彼の目は、何かを見透かしているようだった。 その後、彼は江に言った。 「まあ、こういう話は面白くないな。俺から言わせれば、あんな小娘に何ができるんだって感じだ。」 「いや、明日は一緒にドッキリを仕掛けないか?」 「仕方ないだろ。前も言ったけど、うちはギリギリなんだ。今日の結婚式だって無理して予定を開けたんだぞ。感謝こそされど文句を言われる覚えはない。」 「そうだよね。わがまま言ってごめんなさい。でも1つだけ聞いていい?私のこと本当に愛してる?」 彼は少し間を置いて、「うん」とだけ言った。 その返事は、言葉以上に何かを感じさせた。 「エジとの婚約は破棄することにしたよ。そうでもこれで良かったと思う。昨日彼とLINEした時、なんとなくだけど、ここのことを愛してるようには感じられなかったからさ。やっぱり私なんかが幸せになるなんて無理だったんだ。」 「そんなことない。ここは優しいから。だからあいつらは何をしてもいいと勘違いしただけ。環境に甘えず、いつも努力してる子は幸せになるべきだよ。」 「ふえ、ありがとう。ひとまず今日は帰ったらゆっくり休むね。明日は午前休だったよね。」 私は彼にそう言って、LINEの画面を閉じた。

10 September 2026

夫が残業だと言って帰りを遅らせた夜。友人から『知らない女とラブホテルに入っていくのを見た』と連絡が来たんだ。問い詰めると、夫は開き直った口調で『酔ってたから介抱してもらっただけだ』と言った。それで終わらせられると思ったのか。娘が18歳で大学に合格したばかりなのに、夫は平気で最低なことをする。しかも、夫の元妻との離婚も不倫が原因だと知ってしまった。娘はスマホのLINEを見つけてしまった。『また…

「大地、今どこ?」 「どこって会社だけど、今日は残業で帰り遅くなるって言っておいただろう。」 「嘘だよね。」 「はあ。嘘ってなんだよ。」 「私の友達が偶然見たって言ってたの。大地が知らない女とホテルに入っていくの。」 「ああ。あれだよ。あれ飲み会で酔ってたから解放してるだけ。」 「飲み会残業じゃなかったの?」 「飲み会も残業みたいなもんだろう。」 「じゃあ聞くけど、解放ってラブホで?」 「え、なんだよ。そこまで分かってたのかよ。もったいぶった言い方しやがって。」 「何その言い方?開き直ろうって言うの?逆に聞くわ。男女でラブホに入って何もないと思ってんの?」 「はあ、大したことじゃないって。」 「大したことじゃない?大地、あなたね、私と再婚してまだ3年だよ。だからたった3年で不倫って。しかもみゆちゃんが大学合格してすぐなのに。」 「いや、ミは関係ないだろ。」 「ついこの間家族でお祝いしたばかりじゃない。みゆちゃんになんて説明する気よ。」 「みゆだってもう18だろ。この程度のことでガタガタ言わないって。」 「そんなはずないでしょ。年頃の女の子が父親の不倫なんて知ったら。」 「ああ、はいはい。お前にはわかんないか。まあ、初詮は血のつがらない母親だもんな。」 「どういう意味?」 「ミゆはこれくらい慣れっこだってことだよ。俺がミの母親と離婚したのも不倫が原因だし。」 「何それ?私には教育方針の違いだって。」 「そんなの嘘に決まってんだろ。不倫して離婚しましたとか正直に言ってさ、お前は俺と結婚したわけ。」 「するわけないでしょ。」 「そういうことなんだよ。てかミで思い出したわ。」 「今度は何?」 その日はそれ以上話が続かなかった。私はリビングのソファに座ったまま、大地が寝室に消えるのを見つめた。頭の中では、みゆの顔が浮かんでいた。みゆは大学に合格したばかりで、昨日まで家族でお祝いの計画を立てていたのに。大地の考えていることが少しずつ見えてきた。みゆは私にどう思っているんだろう。もしかして、私のせいで父親の本当の姿を知っていたのか。 翌日、みゆが大学から帰ってきた。リビングに入るなり、私の顔を見て笑った。 「おかあさん、今日は何の顔してるの?浮かない顔してるよ。」 「何でもないわ。ただ、ちょっと考え事をしてたの。」 「ふうん。そういえば、お父さん、最近遅いね。仕事忙しいのかな。」 「うん、そうみたいね。」 みゆは何も知らない様子だった。私は話すべきかどうか悩んだ。でも、まだ確証もないし、みゆを傷つけたくなかった。それに、もし私が間違っていたら、余計な波風を立てることになる。 数日後、大地が帰ってくるのが早い日があった。リビングで私が一人でいると、大地が入ってきて、言った。 「なあ、ちょっと話があるんだけど。」 「何?」 「昨日のことだけど、あれは本当にただの飲み会だったんだ。その、俺が酔っ払ってて、同僚の女が介抱してくれたんだよ。ホテルに行ったのは、酔いを覚ますためだけだったんだ。」 「そんな説明、説得力ないわよ。もう知ってるのよ。私はあんたが嘘をついてるって。」 「嘘じゃないって言ってるだろ。」 「じゃあ、友達に聞いた話は何なの?あんたが女とラブホに入っていくのを見たって。」 「それは、その、誤解だって。」 私は立ち上がった。 「誤解?大地、私はもう呆れてるのよ。あなたがみゆの母親と離婚したのも不倫が原因だったんでしょう?今度は私と再婚してから同じことをしてるの?みゆはもう大学生なんだから、そういうことがばれたらどうなる思ってるの?」 「みゆだってもう大人だ。きっと理解してくれるさ。」 「理解?父親が浮気してるって理解する娘がいるの?」 「そりゃ、最初は驚くかもしれないけど、時間が経てばわかるさ。そういうこともあるんだってな。」 私はその言葉に何も言えなかった。大地の考え方はあまりにも身勝手だった。もしかしたら、私と結婚したのも、みゆのことを考えてのことではなくて、自分の都合だけだったのかもしれない。 それから何日かして、みゆは私に相談した。 「おかあさん、ちょっと話があるんだけど。」 「どうしたの?」 「最近、お父さんの様子が変なの。前よりずっと遅く帰ってくるし、スマホばかり見てるし。もしかして、何か隠してる?」 「そんなことないと思うけど。仕事が忙しいんじゃないかしら。」 「でも、おかあさん、知ってる?」 「何を?」 「私、この前、お父さんのスマホを見たの。女の人とのLINEのやり取りを見たの。『また会おうね』とか、『今日も楽しかった』とか書いてあったのよ。」 私は何と言っていいかわからなかった。みゆの目は真剣だった。 … Read more

10 September 2026

結婚式の前日、彼女に親友を紹介した。彼女は言った。「親友とやらを早く紹介してくれよ。早く仕事に戻りたいんだ」と。親友が現れて、彼女は笑った。「あんたがお嬢様か。甘やかされて育ったお嬢様の力量なんて高が知れてる」。彼女は何も言い返さなかった。ただ、その夜、彼女はLINEで一言送ってきた。「エジとの婚約、破棄したよ。私、幸せになる資格なんてなかったんだ」。私はその言葉が意味するものを理解した瞬間…

結婚式の前日、俺は残業の合間に彼女に連絡を入れた。 「明日の結婚式の前に、俺の親友を紹介したいんだ。今、残業中でバタバタしててさ。ごめん。でも当日はゆっくり話せないだろうから、せめてLINEで挨拶だけでもしてほしい」 彼女の返事は、少し冷たかった。 「まあいいけど、早めに終わらせてくれる?毎日残業してるから疲れてるんだ」 「仕事熱心だね」 「そりゃ、親父の会社は倒産寸前だから熱心にもなるさ。親父も資金繰りに苦労してるんだよ」 「そうなんだ」 「大企業を経営する社長を父親に持つこと、いいよな。で、入社して課長になったんだろ」 「そんなことないよ。私も一生懸命仕事してる」 「はいはい。仕事してるつもりでいればいいよ。甘やかされて育ったお嬢様の力量なんて、高が知れてる」 彼女の言葉に、俺はカッとした。でも、それ以上言い返すことはできなかった。彼女の父親の会社が資金難で、うちの会社が投資を決めたからだ。 「でも、お父さんの会社が所有している土地は有望だから、うちが出資することになったんだ。何より地元密着型の不動産屋だからね。私たちよりこの地域のことに詳しいのは助かるよ」 「そうか。てか、早くその親友とやらを紹介してくれよ。早く仕事に戻りたいんだから」 「ああ、ごめんね。親友の連絡先を教えるね」 「早く終わらせろよな」 5分後、彼女が親友を連れてきた。 「初めまして。江です。こことは高校からの親友で、今は同じ会社の広報戦略室で働いてます。どうぞよろしく。あなたがとえさんでしたか?話は聞いてますよ。何でも学生の頃は男子顔負けの柔道部だったとか」 「その辺の男には負けませんよ」 「すごいですね。こりゃ気をつけなきゃ」 「この度はご結婚おめでとうございます。結婚するということは、ここのことを愛してるんですよね」 「おかしなことを聞く人だな。そりゃ愛してますよ。じゃなきゃ結婚しないでしょ」 「ままってのも面白くないな。感じだ。あんな小娘に何ができるだろう」 「いや、明日は一緒にドッキリを仕掛けないか?」 「仕方ないだろ。前も言ったけど、うちはギリギリなの。今日の結婚式だって無理して予定を開けたんだぞ。感謝こそされど文句を言われる覚えはない」 「そうだよね。わがまま言ってごめんなさい。でも、1つだけ聞いていい?私のこと本当に愛してる?」 「うん」 「エジとの婚約は破棄することにしたよ。そうでもこれで良かったと思う。昨日彼とLINEした時、なんとなくだけど、ここのことを愛してるようには感じられなかったからさ」 「やっぱり私なんかが幸せになるなんて無理だったんだ」 「そんなことない。ここは優しいから。だからあいつらは何をしてもいいと勘違いしただけ。環境に甘えずいつも努力してる子は幸せになるべき」 「とええ、ありがとう。ひとまず今日は帰ったらゆっくり休んね。明日は午前休だったよね」

10 September 2026

「エリートの息子と結婚目前で浮かれてるんじゃない?」お義母さまの一言で、すべてが凍りついた。彼の家の豪華なマンションで、私は初めてその笑顔の裏を見た。肩書きで彼を選んだわけじゃないのに、家に入って夫を支えるのが妻の仕事だと決めつけられ、おまけに私の両親を「貧乏人」呼ばわりされた。食事会の席で、母のワンピースについたタグに気づくなんて…。しまいには「私の許可があったから結婚できるのよ」って。そ…

「エリートの息子と結婚目前で浮かれてるんじゃない?」 お母さん、先日はご自宅にお招きいただきありがとうございました。 高級マンションの放送会で驚いたでしょう。 はい、とっても素敵なオタクでした。 うちの夫も大手広告代理店のエリートだけど、息子も同じ会社に入るなんて、遺伝子って大事よね。 はい、ご立派だと思います。ただ、私は肩書きで孝太郎さんを選んだわけじゃありません。 でも、結果的にその恩恵を受けるのはあなたよ。 収入があることはすごいと思いますが、私も仕事を続けながら支えていきます。 は?何言ってんの?女は家に入って夫を支えるものでしょ。 今時はそういう女性は少ないかと。 今も昔もないのよ。家中をピッカピカに磨いて、栄養のある料理を作って、夫の帰りを待つの。それが妻の仕事。 できる限り頑張ります。 私の許可があったから結婚できるのよ。感謝してるの。 認めていただきありがとうございます。 来週は我が家の食事会ね。どんなご両親か楽しみだわ。 父も母も大したことはないですが、尊敬できる両親です。 それはこっちが判断するから、店はそっちが予約しなさいね。 わかりました。 数分後、私は彼に電話をかけていた。 「私、お母さんに嫌われてるみたい。どうしよう。」 「エリートの息子を全力で支えるために仕事はやめろって。母さんらしいな。でも気にすることないよ。」 「うん。蒼いは蒼いらしくいたらいいんじゃないかな。」 「ありがとう。」 「1人息子の結婚で少しバスになってるだけだから、あまり気にしないでいいよ。」 「分かってる。ごめんね。口ぐちっちゃって。俺は蒼いの味方だからさ。」 「その言葉があれば頑張れる気がするよ。」 「よかった。食事会のお店を決めるよう言われたんだけど、どこがいいと思う?」 「うーん。蒼いのご両親が好きなものでいいよ。うちの家族は好き嫌いないから。」 「そう。じゃあこちらで決めさせてもらうね。」 「悪いな。頼んだよ。蒼い、幸せになろうな。」 「うん。」 食事会当日。 「ちょっと想定外の貧乏人で驚いちゃったわ。」 「誰がですか?」 「あんたの親に決まってんでしょ。」 「特にお金に困ってるとかはないんですが。」 「頭も悪そうだったし、愛もないし、ボケも始まってるみたいだし。」 「ちょっと失礼すぎませんか?2人ともしっかりしてます。」 「だって、母親の安物のワンピースにタグがついたままだったじゃない。」 「不注意だったと母ってたじゃないですか。後でこっそり捨ててたを見たけど、1万円だって安物すぎて笑っちゃったわ。」 「わざわざ拾ってみたんですか?」 「どうか温かく見守ってはいただけないでしょうか?」 「それはそちらの態度次第と言いますと、結婚式あげるんでしょ?」 「ところで、さっきの生活保護って何?誰に聞いたの?」 「だったら何?」

10 September 2026

「LINEでは返事するくせに、家では3ヶ月間無視されてた。産後、ワンオペでボロボロなのに、旦那は『育休で休んでるくせに何がきついんだ』って言い放ったんだ。その日の夜、隣の部屋から聞こえた『ごめん、言い過ぎた』ってLINEの着信音。返事は『気にするな』だけ。数日後、彼のスマホに見知らぬ女とのチャットを見つけたんだ…『バカ妻うるさい』って書いてあった。もう無視も限界だった。今、私は離婚を決意して…

LINEでは返事をくれるのに、家では完全に無視されてる。そんな日々が3ヶ月続いた。セを産んでから、夫はもう僕のことを存在しないかのように扱う。 「ねえ、なんでLINEでは返事するのに、家では私の話を聞いてくれないの?」 「いきなりなんだよ」 「産後3ヶ月、ずっと無視されてるのはなぜ?」 「お前こそ、子供のことしか見てないじゃん」 「それは当たり前でしょ。でも無視する理由にはならない」 口を開けば「オムツ替えろ」「風呂に入れろ」って命令ばかり。こっちは寝る間もなく動いてるのに、その言葉がいつも刺さる。 「それが理由で無視してたの?」 「お前の話はどうせ『手伝って』ばかりだろ」 「手伝うって言うか、協力って言うか…」 「同じだろ。なんだよ、俺は今飲み会なんだ」 「その飲み会、少し減らせない?」 「なんで? お小遣いの範囲内だし、相手は男ばかりだし。減らす必要が分からない」 3ヶ月間、ワンオペ育児でへとへとだった。夜も昼もなくお世話して、ご飯を食べる時間すらろくにない。 「あなたは育休をもらって家にいるんだろ? 何がきついんだよ」 「育休って休みじゃないのよ。一日中、乳やって、寝かしつけて、時々オムツ替えて。食べる時間も寝る時間もなくて、今にも倒れそう」 「効率が悪いだけだろ。寝てる間にやればいい」 「あの子、抱っこじゃないと寝ないから」 「音を出せばいいだろ」 「首は座ったけど腰はまだだから、無理だよ」 「じゃあ、抱っこしたままご飯作ればいいだろ」 「そんな危険なことできるわけないでしょ」 「ああ、言えばこういう言い訳ばっかり。できないんじゃなくて、やろうとしないだけだ」 「お願い、協力して。もう限界なの」 「まだ3ヶ月だろ。そんな弱音吐くなよ。ダメな母親だな」 その言葉で何かがプツッと切れた。 その夜、隣の部屋からLINEの着信音が聞こえた。旦那に「ごめん、さっきは言い過ぎた」って送ったんだ。返事はすぐ来たけど、内容は「気にするな」だけ。やっぱり話し合う気はないんだな。 翌朝、洗面所で会っても無視された。旦那はスマホをいじりながら、何食わぬ顔で出かけていく。 数日後、友達のサラからLINEが来た。 「隣まで聞こえたよ。ごめんね」 「え、どうしたの?」 「泣き声が聞こえたから。大丈夫?」 「あ、うん。大丈夫だよ」 「無理してない? 何か困ってるなら言ってよ」 「ありがとう。実は…今、入院費用が払えなくて」 「え、それ大変じゃない!」 「リセ君抱っこできてないんだよ。この3ヶ月、ずっと抱っこで過ごしてたから」 サラに慰められて、涙が止まらなかった。家では、旦那は僕の存在を無視して、LINEでも何でも、僕が嫌がることは全部言ってくる。 「じゃあ、絶対話しかけないでくれ」 「分かった。そうするよ」 3日後、旦那が言った。 「いつ退園するんだ? 今日休みで、母さんが一日中家にいるから、きちんと面倒見ろよ」 「実家に帰るように言っておけ」 その夜も、旦那は飲み会に出かけた。深夜になっても帰ってこない。翌朝、LINEで「いつ帰るの?」と送ったら、既読無視。 昼過ぎ、旦那からLINEが来た。 「おい、昼間っから寝てんのか? いいゴミ分だな」 1時間後、またLINE。 「なんで返事しないんだよ。主婦の分際で調子に乗るな。もう知らん。入院費用も自分で払え」 3日後、またLINEが来た。 「裕子、先日は流れ星を見てくれてありがとう」 … Read more

10 September 2026

結婚式の費用を全部出してくれたお母さんに、私は突然「式には来ないでください」って言った。だって、お母さんは私が小さい頃に私を捨てて、ずっと会ってもいなかったから。お母さんは泣きながら「息子の式に出るのが夢だった」って言ったけど、私は「親の資格なんてない」って一蹴した。その後、お母さんは5分後に電話をかけてきて、私の婚約者に「この女はあなたを捨てた人間だ」って言ったの。でも、私はもう決めたの。…

お母さん、結婚式代600万円、本当にありがとうございます。 「いえ、いいのよ。ちょっとでもいい式になればね。」 「これでとってもいい式ができそうですよ。でも、家族の同意を得た上で、お母さんは呼びません。」 「え?何を言ってるの?」 「とってもいい式にしてほしいと思ってるんですよね。」 「そうよ。そのために炎上したんだから。」 「でしたら、式には来ないでください。お母さんが来ると式が台無しになるので。」 「ちょっと待ってよ。私が参加できないなんてありえないわ。私は弘樹の式に参列するのを心から楽しみにしてるんだから。」 「申し訳ないですけど、あなたに参加の資格はありませんよ。そもそも、弘樹の親を名乗るのもおこがましいんですから。」 「どういうこと?」 「あなたは離婚して弘樹とは別々に暮らしてたんですよね。」 「そうね。」 「弘樹のお父さんはそこから一人で育ててたんです。だからお父さんは参列していいですけど、あなたにはその資格はないですよ。もしかしてお金を払えば参列できると思ってました?そんなわけないですよね。親としての責任をあなたは全て放棄してたんです。そんな人を親とは呼べませんよ。」 「離婚をしたのは私が悪かったの。それは確かに認めるわ。でも放棄をしたわけじゃない。私だって弘樹のそばにいたかったわ。」 「今さらそんなことを言っても意味ないですよ。あなたは実際に弘樹を見捨てて一人で生活してた。結婚式費用の600万円を用意したのは偉いなと思いますけど、だからと言って許せるわけにはいきません。」 「そんなお金、どうやって集めたのかはあえて聞きませんよ。でも、どうせ借金しまくって集めたんでしょ。」 「そんな貧乏人に私たちの式に来てほしくありません。なので、どうぞ不参加でお願いしますね。」 「待ってよ。それは弘樹も知ってるの?」 「弘樹には私から説明しておきます。あなたもどうか弘樹のことを思うなら不参加でお願いしますね。」 5分後。 「ひろ、さっきゆみさんから連絡があったの。」 「もしかしてお金のことかな?本当にありがとうな。こんな時に親を頼るなんて社会人として情けないよ。」 「そんなのはいいのよ。私としてはあなたに頼られて嬉しかったんだから。」 「あんな大金を払わせるなんて申し訳ない。」 「それは別にいいんだけど。ゆみさんから、式には参列してほしくないって言われて。」 「え、なんで?」 「私にはあなたの親を名乗る資格はないって。そんなバカな。あいつは何を言ってるんだ?」 「それに、あなたのお母さん、私に言ったのよ。『あなたは私の息子を見捨てた。そんな人に親の資格はない』って。」 「ひどい…。確かに俺は母ちゃんに迷惑かけたけど、でも…。」 「ひろ、私はね、あなたのことが好きで結婚するんだよ。だから、あなたの母親がどう思おうと関係ない。でも、ゆみさんがそこまで言うなら、私も一度ちゃんと考えたい。」 「考えたいって…。」 「式の当日、ゆみさんが来ないって決めたら、私もどうしたらいいか分からない。でも、あなたと結婚したい気持ちは変わらないわ。」 「俺もだ。」 「だけど、ゆみさんは本当に来てほしくないみたい。私はあなたを選ぶけど、式のことは…もう少し時間をもらえる?」 「ああ、分かったよ。」 その夜、弘樹は母に電話をした。 「母ちゃん、なんでそんなこと言ったんだよ。」 「だって、あの人はあなたを見捨てたんだよ。許せないんだよ。」 「俺は母ちゃんのことを許してるよ。でも、あの人だって俺の母親だろ?」 「そんなのは違うよ。本当の親は責任を果たす人だけだよ。」 「じゃあ、俺も責任を果たせなかったら、親じゃないってことか?」 「違うよ、あなたは違うよ。」 「母ちゃん、俺は自分の結婚式に母ちゃんがいてほしいんだ。もし母ちゃんが来ないなら、俺も式を挙げないよ。」 「そんなこと言わないで…。」 「本気だよ。俺は母ちゃんが認めてくれないなら、結婚できないよ。」 電話の向こうで、母はしばらく黙った。 そして、ゆっくりと「ごめんなさい」と呟いた。 「私が悪かったわ。息子の幸せを考えるべきだった。」 「母ちゃん…。」 「式に参列させてくれる?今度こそ、本当の親として、あなたの幸せを見たいの。」 そして、式の日。弘樹と由美は結婚した。母は参列しなかったが、式の後に二人の家に来て、泣きながら謝った。 「これからは、ちゃんと親として責任を果たすわ。二人の幸せを陰ながら見守らせてほしい。」 由美はその言葉を黙って聞き、頷いた。 弘樹の目には涙が光っていた。

10 September 2026

「3人は欲しいねって言ったのは嘘だったの?」って聞いた瞬間、旦那の顔色が変わった。12年、毎月の体温記録と検査薬の写真が私の人生だった。でも夫は「焦ってる女は気持ち悪い」と吐き捨て、男のせいで子供ができないなんて認めない。そんなある日、私はまだ知らなかった。夫の姉が仕組んだこと、そして私が思い込んでいた「不妊の理由」がまったく違うということを。今、目の前にある真実に、私はどう行動すればいいの…

「明日が配ら日なの。今夜早く帰れるかな?」 また小作りの話かよ。いい加減にしてくれ。 ここまで頑張ってきて諦めたくない。 12年間も子供子供ってうるさくて耐えられないんだよ。 お願い。協力して。どうしても子供が欲しいの。 タイミングがあんだろう。少しは待てよ。 俺が協力したくなったら言うから黙ってろ。 そう言って結婚してもう12年経ったのよ。私も36だし時間がないの。 そんなの知らねえよ。焦ってる女とか一番無理。さりのついた猫みたいで気持ち悪いんだよ。 やめなよ、そんなこと言うの。今日は帰らないから。 え、待ってよ。 お前がしつこいせいだぞ。 じゃあ明日は? 明日は多分疲れてるから無理だな。今月を逃したらまた来月になるのよ。 来月でも来年でも一緒だろ。お前のその必に俺の遺伝子が拒絶反応を示してんだよ。 ひどい。自分の体がポンコなくせに俺のせいみたいに言われて精神的に参るだろう。 誰もあなたのせいにはしてない。協力してと言ってるの。 やだね。姉貴の家で飲んでくるわ。お前は1人で基礎体温でも測ってろ。 翌日、弟から聞いたわよ。毎月排卵日が近づくと弟に迫ってるそうじゃない? お姉さん、そうやって茶かさないでくださいよ。私はただ子供が欲しいだけなんです。 うちに3人いるから1人あげよっか。 あまりそういうことは言わない方がいいと思います。冗談も通じないのね。そういう風に余裕がないから子供ができないんじゃない? 作りたくても夫の協力がないと。 うちは両親ともいないから孫だって騒ぐ人はいないけど私だって追いかめいは見たいのよ。 そう言われましても 女として魅力がないからじゃないかしら。 努力します。私の信頼してる先生に相談したらどう?産婦人科のお医者様ですか? 違うわよ。霊媒。 私はそういうのはちょっと もしかしてスピリチュアルをバカにするタイプ?いえ、そういうんじゃなくてあまり信じてないだけです。 先生が起当したパワーストーンで妊娠した人がたくさんいるのよ。 そうなんですね。 たった10万で子供ができるならお得じゃない。 結構お高いんですね。すみません。私は大丈夫です。 そういう笑にもすがることすらしないから子供ができないんだと思う。そういうものでしょうか。 まあ、ブレスレットが惜しくなったら言って。 ありがとうございます。 弟にプレッシャー与えるのはやめてね。 はい。 数日後。 おい、クソ嫁め。 いきなり何なの。 お前、不妊治療が辛いとかSNSに投稿してんだろ? え? 姉貴からこれあんたの嫁じゃないって言われて身内の恥を世界にさらすなって怒られたんだぞ。 いや、書いてるよな。そうだろ。 ごめん。同じ悩みを持つ人と分かち合えたらと思って匿名アカウントでやってた。個人情報は出してないから。 嘘つけ。お前が妊娠検査薬を映した写真にオレンジのリビングが映ってて姉ちゃんが気づいたんだよ。そこまで気をつけてなかった。 ごめん。 旦那が協力的じゃないとかよくかけたな。 それは事実でしょ。年に数回気が向いた時だけ小作りして夫婦で病院だって一緒に行ってくれないじゃない。なんで毎月お前に付き合わないといけないんだよ。 あなたにも検査を受けて欲しいって頼んでるの。 は?俺のせいだって言いたいのか? 違うけど原因を探るには夫婦で検査しないと意味がないらしいのよ。 言ったよな。子供子供って言われて萎えるって。 … Read more

10 September 2026

「離婚届、出してきた」そう言った瞬間、夫は「お疲れご苦労さん」と笑った。不倫相手を妊娠させておいて、その態度?しかも、「女のくせに稼ぎがあるから家に居づらい」って、私のせいだと言い放った。4歳の娘の親権まで向こうに渡す条件で、全部アッサリ終わらせようとした。慰謝料も養育費も「適当に」だと。だけど数日後、新しい彼女に呼び出されて言われた。「養育費なんて、払わなくてもいいんですよ」。私は静かに、…

「離婚届、出してきたわ」 私の言葉に、真剣は鼻で笑って「お疲れご苦労さん」と吐き捨てた。ご苦労さんって、誰のせいでこうなったと思ってるの?何を言っても「俺のせい、俺のせい」と棒読みで繰り返すだけ。不倫して、相手を妊娠までさせておいて、その態度? ユナはまだ4歳なのに。私が全部やってきたのに。家事も育児も仕事も、全部。 「だから真剣はお前に渡したんだろう」 その言葉に頭の中が真っ白になった。私の娘が、私から奪われた?しかも、全部私のせいだって? 「女のくせに稼ぎがあるから、家の居心地が悪いんだよ」 理解できなかった。私が稼いでいることと、あなたが浮気したことと、いったい何の関係があるっていうの? 「そっちは気を使って疲れたくないんだよ」 気を使って?私が真剣に空気を読ませてたっていうの?今まで、言いたいことも言えずに全部我慢してきたのは私の方なのに。それを、空気が読めない嫁だって? 「花はよくできた女だよ。ほどほどにバカで愛嬌があって、一緒にいてしんどくない」 この人の新しい彼女は、私より6歳も若いらしい。それで、私より「扱いやすい」から選んだんだって。なるほど。そういうことか。 養育費は月50万。慰謝料はそっちで適当に決めてくれだって。「可愛い嫁が待ってるから今日も仕事頑張ろう」そう言って、真剣はアッサリと出て行った。 数日後。公正証書の作成を終えたあと、私は高成のオフィスに呼び出された。用件を聞くと、ニコニコした顔でこんなことを言われた。 「旦那さんに捨てられた惨めな香織さんに、最後のご挨拶みたいなものです」 呆れた。この人、本当に性格悪いんだね。 「いいや、性格が悪いのはそっちでしょう。真剣さんが言ってましたよ。香織さんは夫を立てない、できの悪い嫁だって」 夫を立てるって何?私は毎日、夫に気を遣わせないように、嫌な顔一つせずに家事も育児も全部やって、仕事の愚痴も聞いて、休日も家族の時間を作ってた。それで「できの悪い嫁」だって? 「男っていうのは、自分が上だって思いたい生き物なんですよ。だから上手に立ててあげないと。女はちょっとバカなくらいがちょうどいいんです」 そう言って、勝ち誇ったように笑う高成に、私はカチンときた。だけど、その時はまだ何も言い返せなかった。だって、悔しいけど、真剣が選んだのは、私じゃなくてこの人だから。 「ところで、養育費の件ですけどね」 高成が急に声を潜めた。 「あれ、払わなくてもいいんですよ」 一瞬、何を言われたのか分からなかった。 「養育費って、子供の養育のためのお金じゃないの?あれは慰謝料とは違って、正直言えば支払いを逃れることも可能なんですよ。知らなかった?」 私は言葉を失った。確かに私は法律に詳しくない。でも、養育費は子供のためにあるお金で、それは絶対に守られるべきものだと思ってた。まさか、そんな抜け道があるなんて。 「真剣さんに言ってあげてもいいですよ。でも、多分彼は気にしないと思いますけどね」 高成は笑いながら言った。 「だって、あの人は自分のことしか考えてないから」 自分のことしか考えてない。その言葉に、私ははっとした。そうだ、この人は私の夫だった人。でも、今はもう、私の敵なんだ。あの人の新しい女と、その取り巻きも。 数日後、私は弁護士を通じて、高成の主張を伝えた。だけど、真剣からの返答は冷たかった。 「養育費?あんなもん、払う必要があるのか?」 信じられなかった。自分の子供のために払うお金なのに。しかも、給料の差し押さえも可能だって高成に言われて、私はようやく状況を飲み込んだ。 「早く払わないと、差し押さえちゃうわよ」 私がそう警告した直後、電話の向こうで真剣が何か小声で呟くのが聞こえた。30分後、私はある重大な事実を知ることになる。 真剣の新しい彼女、花。彼女は単なるバカな若い女じゃなかった。彼女は真剣の会社の取締役の娘で、妊娠してる子供の父親は、実は別の男だった。真剣は、花と結婚すれば会社での地位も金も手に入ると思ったけど、実は花の方も真剣をいいように利用してただけ。自分の子供を真剣の子供だと偽って、彼を騙して結婚しようとしてたんだ。 真剣が捨てたのは、私じゃなくて、自分の人生だったのかもしれない。だけど、その事実を知ったとき、私はもう何も感じなかった。ただユナのことだけを考えた。奪われた娘と、これからどうやって生きていくか。それだけだった。

10 September 2026

「あんたはまだうちの身分じゃないのよ。」 義母にそう言われたのは、結婚して半年の夜だった。彼女は夫と娘夫婦と5人でハワイに行くと言い、私だけ留守番を命じた。しかも、その旅行代は私が節約して貯めたお金だと知ったのは後からだった。夫は何も言わず、義母の味方をするだけ。 「戸籍に名前書いただけの他人でしょ」という言葉が頭から離れない。…

お母さんが突然、旅行の話を持ち出した。「ハワイ行ってくるわね。留守番よろしく。」 「あら、お母様。随分と景気がよろしいことで。」 「そうなのよ。可愛い息子が親孝行で連れてってくれるらしいの。」 「へえ。その息子さんって私の夫なんですが、そんな話聞いてないんですけどね。」 「別に嫁ごときが言う必要ある?」 「家計のお金から出るなら、相談があってもいいのでは?」 「あなたと結婚してからお金が余ってるらしいな。そのお金で連れてってくれるんだからいいでしょ。」 私は生活費を切り詰めて貯金してきた。だが、お母さんはそれを「余ってるお金」と笑う。「うちのご先祖様は貴族なのよ」とまで言い出した。 「お母さんも息子さんも埼玉生まれですよね。」 「え、どっちも同じでしょ。」 「それで、留守番とはどういうことですか?」 「そのままの意味よ。私だけ行けないってことですか?」 「逆になんで行くつもりなのよ。」 「結婚したので家族になったのかなと。」 「冗談やめてよ。戸籍に名前書いただけの他人でしょ。」 夫に話すと、彼もまさかの返事だった。「ごめんな。相談はして欲しかった。でも、パパとママと姉夫婦と5人で行くんだ。」 「私も連れていいかな?」と聞くと、夫は黙った。お母さんは私の分の費用がないと言い放った。「航空券とホテル代で130万使っちゃって、残り20万じゃ無理なのよ。」 「じゃあ、何が目的なんですか?」 「あんたはまだうちの身分じゃないのよ。」 その言葉で、私は決めた。勝手に旅行に行くなら、勝手にさせればいい。でも、この家のルールは、もう私のルールじゃない。

10 September 2026

「こっちはあなたに竜二という息子を差し上げたはずよ。その対価として考えなさい」――義母が高級寿司屋を営む私に、8人分の20万円の食事代を「家族なんだから」と踏み倒して言い放った言葉です。予約もなく押しかけ、他のお客様の予約をずらしてまで席を作り、職人さんたちには残業までさせたのに、お会計はゼロ。しかもこれで3回目。損害は60万円を超えているのに、夫に伝えても「家族なんだから当然でしょ」と笑う…

お母さん、もういい加減にしてください。 あら、何よ、いきなり。 母から聞いてびっくりしましたよ。お母さん、また予約なしで8人も連れてきたんですって。 それが何? 何か問題でもあるの? 問題だらけですよ。うちは予約制の店なんです。普通は1ヶ月待ちなのに、予約もなしにいきなり来られて。 でもゆみさん、席を用意してくれたわよ。 母が他のお客様に電話をして、予約時間を変更してもらったんです。急な事情で申し訳ありませんって、何度も頭を下げてお詫びにサービスまでつけて。それなのに、お母さんたちは3時間もいて、お会計もせずに帰ったんですって。 もしかして私から金を取る気でいるの? 私たちは家族じゃないの? 家族でも限度があります。予約を変更してもらったお客様へのお詫びのサービス代。閉店時間も2時間伸ばして発生した職人さんたちの残業代。それで8人で20万円分も食べて、お金も払わないなんて。 20万。そんなに食べたかしら。だけど、お金のやり取りなんてよそよそしいわ。 よそよそしいどころじゃないです。これで3回目ですよ。毎回お詫びのサービスをして残業代も払って、実質的な損害は60万どころじゃないんです。職人さんたちも限界なんですよ。 でも家族なんだから、そこはサービスしてよ。 それはこちらが言うことですよ。どうして施される側のお母さんがそんなことを言うんですか? こっちはあなたに竜二という息子を差し上げたはずよ。その対価として考えなさい。 差し上げた? 結婚は私たちが決めたことですよ。 だとしても、認めてあげたのはこっちよ。別にあの子は他の人と結婚させても良かったんだから。あなたの魅力も感じないあなたと結婚をさせてあげたんだから、そのことに感謝をしなさい。 なんでそこまで言われないといけないんですか? そっちがぐちぐち言ってくるからでしょ。 お願いですから。もうこれ以上は店に迷惑をかけないでください。 別に迷惑なんてかけてないわよ。少なくともあなたのお母さんは毎回受け入れてくれてるからね。 あなたが強引に店に来るからでしょ。いきなりやってきて、店先で揉めたくないから入れてるだけですよ。 とにかく、これからも私は行かせてもらいますからね。私はここの店の味を高く評価してるのよ。嫁の実家が高級寿司屋で超ラッキー。今度またうちの家族を全員連れていくからね。 お金はちゃんと払ってもらいますよ。 会社のあんたがそんなの決めていいわけないでしょ。勝手なことを言ったらだめよ。竜二にもこのことは言っておくからね。 お好きにどうぞ。 10分後。 お母さん、今連絡をしておいたから、どうだった? 全然気にしてる感じはなかったわね。 やっぱりそうなんだ。別に来られるのが嫌ってわけじゃないのよ。でも、その度にお客様に迷惑をかけちゃうし、うちの職人さんたちにも負担をかけちゃってるの。そこら辺を配慮してもらえるとありがたいんだけど。 無理だよ。何にも考えてないって。家族なんだから当然でしょって言ってたもの。店の人がどれだけ苦労してたかとか、全然分かってないよ。経営的なところで言うと、本当に良くないとは思う。 それにより、お父さんたちが不便な感じがして。 お父さんはなんて言ってるの? 娘がお世話になってるからいいだろって。 うん。まあ、お父さんならそう言いそうだよね。あんまり気にしてないっていうか。でも、さすがに売上的に大変でしょ。 売上の問題はもちろんだけど、何より今後もこれが続くと思うとやりきれなくてね。 分かるよ。あの人はきっと図に乗るタイプだと思うし。秋でダメだったら、どうすればいいんだろう。 竜二に私の方から行っておくよ。厳しく注意をしてもらうから。 そうね。でも、もし […] そうなの? うん。まあ、気にしすぎかもしれないけどね。とにかく竜二には私の方から行っておくから。 うん。お願いね。 3日後。 お姉さん、ちょっとお願いがあるんだけど、いい?

9 September 2026