「家族なのに、癌で入院した父を見舞うのも拒否し、『メリットがない』と絶縁した息子。しかし2週間後、父の土地が再開発で3億円の価値になると知った息子は、手のひらを返して『金をくれ』と迫ってきて――。親を切り捨てた男の末路とは?」 この話を最後まで読んだら、感想をコメント欄で教えてくださいね。
「お父さんが倒れたの」 電話の向こうの母の声に、俺は思わずため息をついた。またか。あの人はいつも無理をするからだ。昔から体が弱いのに、全然病院に行こうとしない。でも、まさか倒れるなんて。 「今病院で検査してるんだけど、あなたも来てくれない?」 「俺は行かないよ」 「どうして?」 「仕事が忙しいんだ」 「り介、お願いよ。私一人じゃ不安なの」 「知らないよ。そんなこと言われても」 俺は電話を切った。正直、両親とはもう関わりたくないと思っていた。昔はいい家族だったかもしれない。でも今は違う。実家に帰るだけでも金がかかる。ガソリン代だって馬鹿にならない。そんなことをして何か得があるわけでもない。 翌日、母からまた電話がかかってきた。 「あなた今から病院に行くけど、何か必要なものある?」 「いや、特にないよ。悪いな、わざわざ見舞いなんて」 「貧血で倒れただけなのに心配かけてごめんね」 「そんなの気にしなくていいよ」 「でもまだ何もないって決まったわけじゃないのよ。医者さんがもう少し検査が必要だって言ってたし、倒れた時に頭を打ったみたいだから、脳に異常がないか調べるだけだって」 「無事ならいいさ」 母はそう言って電話を切った。しばらくして、今度は母からメッセージが届いた。昨日り介に連絡したこと、そしてり介がそれを「めんどくさい」と言って断ったことを知らせてきた。 あいつ、そんなことを言ったのか。以前はそんな奴じゃなかったのに。仕事で何かあったのかもしれない。あいつは以前、電話で話した時もひどく落ち込んでいた。そこからどんどん変わっていったらしい。 しばらくして、今度はゆり子から電話がかかってきた。義理の娘だ。 「お母さん、ちょっとお話があるんです」 「ゆり子さんから連絡が来るなんて珍しいわね」 「お父さんの話は聞きましたよ。あの、これからのことなんですけど」 「どういうこと?」 「これからお二人は色々と大変でしょう。年も取って病気もするでしょうし、日常生活だって大変になると思います。今だって正直きついところはあると思うんです」 「それは確実にそうね。今だって正直きついところはあるから」 「ですから、そんな人たちとは関わりたくないんです。介護とか頼られるのが嫌なので、あなたたちとは絶縁します」 「絶縁?介護が嫌だから?」 「そうです。あなたたちの世話なんてしてられません。運よくうちは両親を早くになくしたので、介護をしなくて済むと思ってたんですけど、あなたたちがいたんだって思い出したんです」 「あんまり自分の親の死を喜ぶようなことは言わない方がいいわ」 「そんなのあなたに言われる筋合いはないです。私は別に両親と仲良くなかったですから」 「だとしても、絶縁とかそんなことを勝手に言っていいはずがないでしょ」 「安心してください。り介も了承してくれてます」 「そうなの?」 「まあ、あの子の態度を見たら予想できるけど。だったら受け入れてもらっていいですか?あなたのようなお荷物に私たちの幸せな人生を邪魔されたくないんです」 母は、将来介護が必要になっても施設に預けるとか、ヘルパーを頼むとか、そういうお金の話をしようとした。でもゆり子は、親を騙して自分の世話をさせようなんて親の態度が許せないと言い張った。 母はり介と話をしようとした。5分後、電話がつながった。 「洋介、私たちと絶縁するって本気なの?」 「ゆり子から聞いたのか?もちろん本気だよ」 「私たちはあなたたちに迷惑をかけるつもりはないわ」 「介護のことか?まあ、それを信じることはできないけど、別に俺はそれが理由で絶縁と言ってるわけじゃない」 「違うの?」 「そういうのも含めてだけど、あんたらと一緒にいることのメリットがないって思ってるんだ」 「メリット?」 「そうだよ。あんたらと付き合いがあるだけでこっちは損なんだよ。介護のこともそうだし、この間の病院の件もそうだ。あんたらのせいでこっちは大事な時間を奪われそうになったんだぜ」 「お父さんが倒れたのよ」 「知ったことか。大事なのは俺の時間なんだよ。俺のものを奪うようなことをする奴らは絶対に許さないからな」 「私たちは家族なのよ。メリットとかそんなことを理由に縁を切るの?」 「当たり前だ。俺は自分の感情を大事にしてるんだ。あんたらとこの先一緒にいても時間と金を取られるだけ。そんな奴らはさっさと切るに決まってるだろう」 「まあ、少しでも金があるなら世話してやってもいいと思ってるけど。年金暮らしの貧乏人じゃな。持ってるものも親から引き継いだわけのわからねえ土地とあのボロボロの家だろ」 「あの家はお父さんが一生懸命働いてお金を貯めて買ってくれたものなのよ」 「だとしても資産価値なんてほぼねえだろ。もし俺たちに介護して欲しいのなら、あの家と土地を売って全額を渡せ。そうしたら考えてやるよ」 「家がなくなったら私たちは生活できないわ」 「貧乏人なんだから老後は生活保護でも受けてろよ。お前らみたいなもんにはそれがぴったりだろう」 「そこまで私たちが嫌いなの?私たちが何をしたのよ」 「さっきも言ったけど、俺から時間や金を奪おうとしてる。それだけで嫌うには十分だろ。あんたらが親でいるメリットは何だ?何もねえだろ」 … Read more